あの日の夕焼けは僕等を焦がす

□第三話
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「りょう――!!」




懐かしい想い出を思いだしていたというのに

今ではあたりまえのように聞こえるこの声に遮られた




「まったく、もぅ・・・みんなで帰るっていう約束でしょ?」




いつもとは言っていない。などと言った言い訳を言えば

僕の腹に強烈な痛みが走ることになるのはわかっている




僕はそんなわかりきっていることをするほどバカじゃない




「わるかったって、ちょっと用事があってさ」




「なにが用事?用事がある人は普通、ゆっくりこんなところを歩いてない」




背後から聞こえる声に驚いた。どうもこいつの独特の雰囲気にはなれない

というか、驚くばかりだ


「あのなぁ、蒼は普通に出てくることはできないわけ?」


僕の疑問を無視し、蒼は悠とハイタッチをする


「あたしが言ったの♪むかつくから驚かせろって」


「日向でもよくないか?」


あいつの驚かせ方は小学生級・・・それ以下かな


「ダメだよぉ!だって、こっちゃんの驚かせ方はちょっとね」


目線をづらして言うのも無理はない

僕だってきっとそうするだろう

本当にアホくさいことをしてくれる。言葉にする気を失せさせるほどに・・・


「琥日向のあれはちょっとな・・・」


三人で熊登琥日向のバカさ加減に呆れているときに、本人がきた


「おーお、どうした?お前等ぁ?もしかして、俺がいなくてさびしかったのか!?」


なんとも悠著な台詞だ。

お前の行動について呆れてたんだよ、と言いたいところだったが

そうするとあとがめんどうだ。はっきりと言う悠さえ、黙っている


「寂しかったわけじゃなく、君に・・・」

誰も言わない状況になにを思ったのか、蒼が自爆行為(まきこみあり)にでようとしていたので

僕等二人で必死にとめた


蒼に抱きつくようにして口を塞ぐ僕等の行動は日向を刺激したようで笑いだした


僕等の悪いくせ、というか腐れ縁は太いらしく、ツボというものは一緒らしい


一人が笑いだすとあの時のように笑いだしてしまう


ひーひー言いながら、悠は「ホント、あの時はびっくりだったよね」と切り出す


『あの時』つまり、出会ったときだ


あの年の子供が喧嘩して、ものをとりあい、それを壊した相手(自分もだが)と笑いあい、

こうして一緒に毎日登下校するようになるだろうか?


「なんであの時、あんなに欲しかったんだろ」


「確かに・・・今思えばよつばなんかそこらへんにあるのにな。三つ葉よりレアだけど」


ウルトラマンになりたいがためにあんなに探していた幼き自分を思い出し、恥ずかしくなる


「稜はウルトラマンになりたいがためにあんなに必死になってたんだよなww」


「なっ////日向だって仮面ライダーだったじゃねーかよ!!」


全く、人のこと言えないくせに。そういや、他の二人の願い事を聞いたことはなかった


なんども話してんのに不思議だ


「あたしはね―、アイドルになりたかったんだよね」


そんな台詞に男どもは凍りつく


悠の歌声はジャ○アン級だ。あの時、裂けてしまったことに感謝、感謝だ


「蒼は?」


「・・・。」


考えているのか、うつむいてしまった


「忘れちまったんだろ?バカだなぁ〜」


「お前にバカとは言われたくない」


うんうんとうなづいてしまうのは条件反射みたいなものだ


「ひっでー!!」


日向が泣く真似をするがシカトで帰ろうとする


キリがない



「ひさしぶりにさ、行こうよ!!」


どこに?という言葉はいらない


中学に入ってから勉強やら部活やらで忙しく、ぱったり足が途絶えていたのだ


二年・・・くらいか?


4人とも異論はない


僕等の原点に行こう。今日はよつばが見つかる気がする

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