鬼と血の楔

□彼は何者??
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「ふわぁぁぁ…」

昨日は、ひさしぶりに怪我をしたせいか疲れた。

めずらしく大きなあくびをして起きた真琴。

千鶴ちゃんが「風間」とよんでいた男。非常に興味がある。

あんなに強いやつはそういない。新選組の幹部には何人かいるけど。

それに自分のことを「鬼」と言っていた。あいつも、人ではないのか?

それとも何かの種族か。千鶴ちゃんのことも鬼と言っていた。

本当に、何者だ??

「やっぱりふさがっているな。いくら強くても、結局、あいつも大したことないのか。でも、あの感じは…」

自分は周りより治癒能力が高い。それは、歳を重ねるのに比例し、高まってきている。

今なら雑魚にやられた傷は、一瞬も傷にならない。それを考えと薄らと残る傷のあとを考えると風間、もなかなかの腕のようだ。

「失礼します」

もう顔を見なくても誰だかわかる。

鈴の音のような心地よい声の持ち主。

「入っていいよ」

やっぱりこの子だ。

「あの…昨日は…」

少し、遠慮がちに聞いてくる彼女は真琴のことを心配している、というよりは自分のことでん迷惑をかけてしまったことに申し訳ない気持ちでいる。

そんな千鶴の感情に気付いた真琴はクスリと笑ってしまった。

「大丈夫だって言っているでしょ。千鶴ちゃんは心配性だね」


「笑いごとじゃないよ。私のせいで…」

真琴の手は自然に動き、千鶴の頭をなでた。

「幹部の方にだって、たくさん迷惑かけてるのに、真琴にまでかけて。
私の方が長くここにいるのに全然役に立たないのに、真琴はもうたくさん…」

真琴には流れていないはずの彼女の涙がみえた。

護ってもらってばかりいる自分のせいで皆、傷を作るのに、自分は何の役にも立たない。

きっとそんな歯がゆい気持ちを抱いてきていたのだろう。

「あのね、俺はここの隊士なの。副長の土方さんが君を「護る」って決めたなら、俺も護んなくちゃいけない。君を護ることで俺は命令を守ったことになるし、自分の路を違えずにいれてる。ねっ、役に立っているでしょ?」

「でも、真琴、昨日、不知火さんと風間さんに傷を作らせちゃったのは本当だし、そんなの…」

「あぁ、あれ。隠したつもりだけど、千鶴ちゃん、みたでしょ」
見ていない、と言い張る彼女だが、わかりやすい。

「んで、君は鬼。俺と同様、傷の治りが早い」

一瞬、驚いたような素振りをしたが小さく、頷く。

「真琴も鬼なの?」

普通の人という枠で考えたらその質問は突拍子もないのだが、冷静に、否。と答えた。

「ごめんね。話せる日が来たら、全部を話す。これ約束。だから…」

何かを察したのか、だまって頷いてくれた。

時々、彼女は妙に感強い。

ありがたいときもある。

「そうそう、今度、俺から贈り物をさせて。ちょっと、趣味であるんだけど、この男所帯じゃ、君くらいしかいないし」

「そんな!?悪いよ!私、本当になにもしてないのに」

「そうでもないよ」

「例えば?」

「教えない」

「なにか他の人にも役立てるかもしれないの!教えて」

「う〜ん」
おそらく、こんなことを思うのは少数だろう。この子の存在に安らぎを感じているだなんて。いや、案外、たくさんいるかもしれない。まぁ、自分にとってあまり興味のないことだ。

「飯の時間かな?そろそろ行こうか!」

「そうだった。私それできて」

「ごめんね、長話になって。あと、今度から『千鶴』で呼ばせてもらうね」

その位の申し立て、彼女が断るはずがない。

「あっ、そうそう。これ着て」

そういって、真琴は千鶴の丈に合いそうな白衣をだした。あとで着て、丈が合っているか教えてくれと付け加えて。

「さーさ、ごはん、ごはん♪」

半ば、押しやるように廊下にでる。しかし、庭に違和感を感じ、千鶴を先に行かせた。
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