鬼と血の楔

□入隊なり
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「うむ。腕のほうも申し分ない。緑川殿、今は隊士も少ない。
君のような人が入ってくれるのは嬉しいぞ。」

と豪快に笑った。

それに続けて、先ほどから冗談を本気のように
言う男が自己紹介をした。

不満、というか殺気をかすかに感じさせながら…。

「まぁ、近藤さんが言うんじゃ文句は言えない
しね。
僕は一番隊隊長、沖田総司。よろしくね、えーっと…」

「真琴で構いません」

「よろしくね、真琴」

小さな声で、怪しい動きをしたら…と誠の耳に
入ってきた、ようなきがしたが真琴はあえて気に
しなかった。

「宜しくお願いします。沖田さん」

沖田に従うようにみなぞろぞろと自己紹介をはじめた。
長い付き合いであるはずの仲間の平助を倒したというのに、
いやだからこそか?気に入られたようだ。

「三番隊隊長、斎藤一。よろしく」

「よろしくお願いします、斎藤さん」

「俺は副長の土方だ、俺は近藤さんがなんと言おうがお前を信じちゃいない。
怪しい行動には気をつけろよ」

鬼の副長と呼ばれている彼の脅しを真琴はやんわりとよけ、普通に返した。

「ご忠告ありがとうございます。副長」

何人かの目が大きく開かれたのも無理はない。

「で、あの人は局長の近藤さんだ」
ひとのよさそうな笑顔で話しかけてくる近藤。

その顔で真琴に期待しているのが一発でわかる。

「うぉっ、俺か。こんな局長だが宜しく頼むぞ、緑川くん」

「真琴で構いませんよ」

そういうと、そうかと言いなおしてくれた。
本当にいい人なのだろう。

「俺は十番隊隊長原田左之助だ。よろしくな」

「宜しくお願いします、原田さん」

「んな、かしこまるな。俺と新八、あと平助には楽に話しかけろよな」

そう言って、誠の背中をぽん、と叩く。

「おいおい、左之。なんでオレまで…」
いいだろ、とめんどくさそうに原田が言うと

永倉ももともと気にしていなかったようでいい、といった。

「よろしくな、誠」

「よろしく、新八さん」
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