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□或る日
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何となく気の乗らない日はある。
生きている実感などどうでも良くて生きながら死んでいる。
他人の事などもってのほか。自分が自分である為の思考すら紡ぐのが億劫でそんな日は何事も上手くはまわらない。
坂道を転げ落ちる雪球の様に災難は続く。いかに苦境に追い込まれようと興味が持てない。
戦う気など鼻から湧いてこないからだ。




相手のツモで周りがざわめく。役満一万二千点。
オーラスも迎えていないというのに持ち点はマイナスを切った。
やはり何の感情も起こらない。敗北という結果だけが通り過ぎていく。
ルール通りにこなすのがやっと、生まれて初めて作業のような麻雀をした。
やりたくもない麻雀をした。





何となく気の乗らない日はある。
そんな日は失った右腕すら別段惜しいとは思えない。








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