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□居場所
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小学生ながら、もう誰にも頼らずに生きなきゃって思った。
でも、頼らなければ生きていけないのも事実で。
だったら、極力近寄らずに馴れ合わずに生きようと決めた。
この輪の中に俺の居場所は存在しないから。



***




青春学園中等部、入学式。
小学校とは違い、みな同じ制服に身を包み
新しい環境、新しい授業、新しい人間関係に緊張しつつも
みな心を躍らせている。
俺もその一人。


体育館で行われた入学式も無事に終わり、
割り当てられた教室へと移動する。


教室に入ると、今日からクラスメイトになるであろう人たちは
各々好きな席に座ってる。
当然後ろの方の席が空いてるはずもなく。
俺は空いている一番前の窓際の席に座る。


その後、担任の先生の話を聞き
これからの時間割、行事などのプリントをもらい1日目は終了した。


午後は各自部活の見学ができるようになっていたので
俺もいろいろ見学することにした。



「凌!」


(ん?)



急に名前を呼ばれ、びくつきながら後ろを振り向くと
幼稚園からずっと一緒で、家も隣同士の
いわば幼馴染の、佐々木雅貴がいた。



「やっと、見つけた・・お前、携帯の電源ちゃんと入ってるか?」


「え・・」



言われて確認してみると
携帯の画面は真っ黒だった。



「ごめん、気づかなかった」


「まぁ、いつものことだけどな。」



にかっというような効果音がつきそうな笑顔で雅貴が言う。


雅貴は俺の性格をよく知っているし
人には言えないようなことも、彼にはすべて話している。
もちろん俺も彼の性格を把握し、いろんな秘密も知っている。
幼馴染というか、親友というか、兄弟というか、そんな関係だ。


「部活見学に行くのか?」


「うん、雅貴はやっぱりテニス部?」


「あぁ、凌も見に来るか?」


「じゃぁ、ちょっとだけ行こうかな。」


「んじゃぁ、行くか。」


正直、テニス部には入る気はない。
雅貴もたぶん、わかってる。
だから一緒に入ろうとは言わない。




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