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□夢の中の俺に告ぐ
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跡部さんと付き合うことになってから数か月。
家の方向も違う、学校も違う。
まして跡部さんは、テニス部の部長で生徒会長も務めている。
会う時間はほとんどない。
月に数回程度。
毎日とは言わないけど電話もメールもしてる。



それでも、わがままで子供な俺はそれだけじゃ足りなくて。
所謂、欲求不満ってやつかな?
電話やメールの度に、
抱きしめてほしい、キスしてほしいってそんなことばかり考えてしまう。



そのせいかわからないけど、最近夢を見る。
とても跡部さんには言えない夢。



「凌・・」


「あっ・・跡部さんっ・・・だめっ」


「だめ・・じゃないだろ?身体はこんなに正直なのにな?」


「あっもうっ・・」




って感じの夢。
毎朝毎朝こんな夢を見ては、むくむくと大きくなった息子を鎮めるためにトイレに駆け込む。
そんな日々。



そんなある日のこと。



「おっ凌ちゃん!久しぶりやなぁ」



「忍足さん!こんにちは」



琉兄の彼氏(あとから聞いてびっくりした)の忍足さんが家に遊びにきた。



「今日は部活ないんですか?」


「せや。けど跡部は生徒会の仕事言うてたなぁ」


「そうですか・・」



忍足さんの言葉に明らかに落胆の色を見せる俺に琉兄が突然話しかけてきた。



「凌ごめんっ」


「琉兄?」


「その顔めっちゃ可愛いっっ!」


「うわぁ」



ぎゅーっと抱きしめられ、頬を頬でグリグリと押しつけられる。



「凌ちゃんずるいわぁー・・俺にもしてやぁ」



少し拗ねたような顔をした忍足さんは、ぐいっと俺から琉兄を引き剥がした。



その後一言二言話して、二人は琉兄の部屋へと消えていった。
残された俺も、部屋へ戻ったものの、いろんな気持ちが心の中を渦巻いていた。



「俺だって会いたいのに・・・」



そう呟いて、隣で微かに聞こえる琉兄と忍足さんの声を聞きながら俺はそのまま意識を手放した。







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