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□にゃん小話-留守番-
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今日は、朝からゆーしが出かけてる。
学校は休みだけど、アトベの家に集まってテニスの練習をするらしい。
アトベの家には何度か行ったけど、すごく大きくてびっくりした。
今日も一緒に連れてってもらえると思ったのに
遊びに行くわけじゃないからダメってゆーしに言われた。

「あーあ・・ヒマだよ・・・」

家に居てもやることがなくて、さっきから部屋の中をうろうろしていた。
外に出たくても、朝から雨が降り続けていた。

(まだ帰ってこないのかなぁ・・)

ゆーしが帰ってくるのは夕方だから、まだ帰ってこないのはわかっていたが、
やっぱり、早く帰ってこないかってばかり考えていた。

とりあえず、うろうろしていても仕方がないので
ソファに座ってテレビを見始めた。
お昼の長寿番組を見て、そのあとの昼ドラを見て、そのあとは推理ドラマを見た。
あっという間に夕方の5時になった。
朝からの雨は相変わらず降り続けていて、強さを増していた。
ゴロゴロと、雷の唸り声も少し聞こえていた。

(雷はヤだなぁ・・・ゆーし・・)

窓の外からテレビにまた視線を戻したとき
急にテレビの電源が切れて、部屋中が真っ暗になった。

「え。」

「うわぁっ」

停電したと同時に外が光り、バァンと大きな雷が落ちる音が聞こえた。
雷が得意ではない僕は、その場に座り込んでしまった。

「こ・・・・怖い・・・」

ソファに置いてあったクッションに顔を埋め、耳を塞いだ。
雷の音がするたびに、ビクビクと体が震えた。
だか、外の状況は悪化するばかり。

「・・・ゆーし・・・ぅぅ・・ゆーし・・。」

ゆーしの名前を呼びながら雷に耐えていると、急に何かが肩に触れた。

「ぅ・・!」

びっくりして飛び上がり、声にならない声をあげた。

「な、なんや凌、びっくりしたで。」

目をきつく閉じて、耳をすごい力で塞いでいたせいか、
玄関の鍵を開ける、ガチャガチャという音にも気づかず、
ゆーしが僕のところに駆け寄って来ることにも気づかなかったみたいだ。

「大丈夫か?」

「ぅぅ・・ゆ・・ゆーしーー!」

心配そうにしているゆーしに、僕は飛びつくように抱きついた。

「こっ怖かったんだからねっ!もう夕方なのに帰ってこないし・・・雷だし・・・ゆぅしぃぃぃ!」

「そらすまんかったなぁ。」

「ほ、ほんとだよっ!・・・・まぁもう帰ってきたから・・許すけど・・。」

「おおきに。お詫びに、好きなだけ抱きついててええで。」

「うん。」

(こらあかんわ・・可愛すぎる)

そのあと僕は、泣きつかれて眠ってしまうまでゆーしに抱きついてた。
その間中、ゆーしはずっと頭を撫でてくれてた。
雷はすごく怖かったけど、ぎゅってしてくれて頭を撫でてもらえるだけで全部忘れてしまった。

泣いて泣いて怒ってと忙しかった僕は、寝付く頃には疲れて猫の姿に戻ってた。
僕は気づかなかったけど。

(まぁ・・襲わんですんだわ・・)

残されたゆーしは少し残念そうにしながらも、僕を起こさないようにずっと同じ体勢で座っててくれて
僕が起きたときには、足が痺れて動けなくなってた。

「ゆーし。」

「な、なんや・・ぁててて・・」

「大好きっっ!」



end


 

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