風の間(長編)

□甲斐国
2ページ/4ページ

佐助:「(ハア・・もう旦那ってばもう少し落ち着いて食えないのかな・・)」

佐助は町娘の正体も見破れずそのまま幸村を見守っていた。
その隙に穩罠は借りた娘の着物を返し直ぐ上田城へ潜り込み密かに城内を見て周りながら記憶していく。
そして穩罠は知らず知らずに幸村の居室に辿り着いた。
当然部屋は誰も居らず穩罠は机に目が止まった。
幸村が先程まで机に噛り付きながら終わらせた報告書やらの数々が乗っていて穩罠は指紋をつけないよう手袋をはめその書状を全て目を通し暗記した。
中には政宗からの書状もありその返事の文もあった。
そして何より北条にとって最も重要な内容が同盟を匂わす様な文面があった。

穩罠:「(伊達政宗という者と近しいのか・・。一体何者だ?手を組もうというのだから甲斐国ではないのだろう・・)」

すると二つの気配を察知し書状を元に戻し床下へ身を隠した。

幸村:「ふー・・実に美味かったでござる。」

佐助:「も〜旦那ってば食い過ぎだってあれ程言ってるのに・・」

幸村:「何を言うか佐助!いつもより今日は10本も少なくしたのだぞ!」

スパーン!!

幸村が部屋に入ると机の書状を佐助に渡す。

幸村:「佐助!直ぐに政宗殿にこれを渡して来るのだ!!」

佐助:「しょ、承知!」

佐助は書状を手にすると直ぐに消えた。

それを確認すると幸村は槍を両手に持つと信玄の元へと猛ダッシュして消えていった。

穩罠:「(何とまあ・・慌ただしい奴だ。)」

穩罠は再び屋敷内を視察し、暫くすると書庫に辿り着く。暫く書庫にある歴史と現在の情勢をそこから学ぶ事にした。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ