風の間(長編)
□回復
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会見間
氏政:「ほう もう回復したのか?結構酷い傷じゃった気がするが…まあ、よい。動けるのならその者を連れて参れ」
風魔: コクン シュッ!
そして穩罠は風魔に連れられ会見間で氏政に始めて会う。
穩罠は氏政を前に片膝を付き頭を下げる。
穩罠:「見ず知らずの私の命を救って頂き感謝致します。申し遅れましたが…私の名は穩罠と申します。」
氏政:「良い良い。表をあげ楽にするが良い。これ風魔
、穩罠に茶を持て。」
風魔:「……」シュッ!
穩罠の礼儀正しい姿にすっかり気を良くした氏政。
氏政:「して…穩罠」
穩罠:「はい」
氏政:「風魔の話によると誰かに追われておったそうじゃが…」
穩罠:「……」
氏政:「一体素奴らは何者なのじゃ?何故其方を狙っておるのじゃ?」
穩罠:「私も良くは知りませんが…きっと私が抜け忍だからでしょう」
氏政:「ほう 其方は忍じゃったか!」
穩罠:「はい…家族が亡くなったのをきっかけに里を出ようとふらふら旅していた所、狙われたのです。…もう死ぬんだと思いましたが…たまたま風魔さんに拾われたのが幸いでした。」
氏政:「ふうむ…なるほどのう。ならば其方は今、行く当てがないのか?」
穩罠:「え?あ、まあ…はい。」
氏政:「聞く所によると此処等の情勢をまったく知らんのじゃろ?どうじゃ、しばらく儂と契約せんか?」
穩罠:「は?契約ですか…?」
風魔:「……」
氏政:「うむ。其方を儂が雇いしばらく此処に留まるのはどうじゃ?」
穩罠:「命を救って頂いただけでも有難いのに宜しいのですか?」
氏政:「ふぉっふぉっ 儂がそうしたいと言っておるのじゃから構わん。」
穩罠:「ならば…忍として精一杯働きますのでどうぞご命令下さい。」
こうして穩罠は小田原城でしばらく生活していくこととなった。