風の間(長編)

□異世界
2ページ/2ページ

氏政:「ふうむ、そうか間者じゃないのなら安心じゃ。しばらく其方が看病してやってくれ。」

風魔: コクン シュッ!


風魔は氏政に報告を終えると治療薬と布、粥を用意して再び穩罠の部屋に戻った。

穩罠は風魔が戻って来た事に気づき目を開け風魔を見る。

穩罠:「其方の主は何と?」

風魔:「傷が癒えるまでは面倒を見る。後の事はそれからだ。薬と布を持って来た。起きられるか?」

穩罠:「ああ…っ ! 」ズキッ

傷が痛み額に汗をかくと風魔はすかさず穩罠の身体を支え手拭いで汗を拭き取る。

穩罠:「…済まない。」

風魔:「直ぐ終わるからそのままもたれていろ。」

風魔は穩罠の身体を自分の身体に抱き寄せそのままもたれさせる。帯を解き着物を素早く脱がせ包帯を解き傷口を一度丁寧に濡れた布で洗うと傷口に染み痛みが走る。

穩罠:「…っ!」

穩罠はもはや風魔に裸体を見られ羞恥心よりも身体の傷の痛みでそれどころではなかった。おでこを風魔の肩に当て必死に耐える。

風魔:「辛かったら噛んでも構わんぞ。」

穩罠:「…ハア ハア …いや、…大丈夫だ。耐えれる。」

風魔:「……。」ナデナデ

風魔は穩罠の頭を撫でてあやすと再び手に薬を取る。

風魔:「無理するな。」

治療を終え包帯を巻き終えると着物を綺麗に着せ直し穩罠の身体をそっと離す。

風魔:「終わった。粥を用意しているが食えるか?」

穩罠:「ああ」

風魔は穩罠に粥を渡す。

風魔:「ゆっくり食え。後でまた来る。」

穩罠はコクンと頷くと風魔はシュッと消え一枚の黒い羽を残して去った。
それを見届けると穩罠はお粥を一口口に含み言われた通りゆっくりと食べ始めた。

穩罠:「(美味しい…)」
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ