風の間(長編)
□回復
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翌朝、穩罠は驚く早さで回復していた。
穩罠は布団から体を起こすと風魔が部屋に入って来た。
風魔:「( どうだ具合は?)」
穩罠:「 お陰ですっかり治ったみたいだ。」
風魔:「( 治った?)」
風魔は驚き穩罠の着物に手を掛け脱がそうとすると穩罠は驚き距離を取ろうとする。
風魔はそれを逃がさず彼女を押さえ付けた。
穩罠:「 なっ!何をする!?」
風魔「( 暴れるな。傷口を確かめるだけだ。)」
風魔は覆いかぶさった状態から着物を履いでゆき傷口を覆っていた布を一瞬で取る。
穩罠は上半身裸の状態にさせられ赤面する。
風魔はそんな事お構いなしに傷口に目をやると傷口から湧き出ていた呪文の文字はすっかり消え、傷口もすっかり消えていた。しかし、人柱力の呪文だけが彼女の背中に残っていた。
風魔:「( …………)」
穩罠: 「おい!もういいだろ!どいてくれ!」
風魔は彼女の体を離し着物を着せようとすると手で制された。
穩罠:「じ、自分で着れる。それとそうまじまじと見るな。気持ち悪いだろ?こんな体…」
風魔:「( ……)」
風魔は一瞬過去の自分の記憶が蘇った。
それは子供の頃に目の色と髪の色の事で周りから差別を受け迫害を受けていた時。先程の『気持ち悪いだろ…』と言われた一言に自分の過去に受けた記憶がリンクした。
穩罠が着物を直し帯を結ぼうと後ろに手を回そうとした時、急に帯が引っ張られた。
穩罠は驚き後ろを向くと風魔が彼女の手から帯を離し丁寧に結んでいる。
穩罠:「(変なやつ…)」
穩罠は風魔にされるがまま大人しくしていた。
帯を結び終えると風魔は朝餉の盆を彼女に渡し部屋を出ていった。
風魔:「( 変な気分だ…妙にほっとけない様な気持ちになる…こんな自分が今まであったか?……フッ…俺らしくなくて気持ち悪い…とにかく予定外だが主に報告に行くか…)」シュッ