風の間(長編)
□異世界(風魔視点)
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偵察の帰り風魔は木の枝を飛びながら小田原城へ向かっていた。
すると遠くで鴉の群れが異常なぐらい騒いでいるのを目にする。
風魔:「( ……なんだ?)」
風魔は人の気配は感じないものの異常な光景に警戒心を抱かずにいられなかった。
すると一匹の鴉が風魔に向かって飛んで来た。
鴉:「カーッカーッ!」
鴉が風魔の目の前に来て何かを訴える様に鳴く。
風魔:「………?」
風魔は少し困惑した様子で鴉を見ていると今度は鴉が着いて来いというような仕草で鳴く。
鴉:「カーッカーッ!」
風魔:「………。」
風魔は念の為着いて行って見る。
すると着いて行った先に大量の血を流し顔は白い狐のお面を被った人が倒れていた。
数匹の鴉が心配そうに見守っている。
風魔は倒れた人物に近づくとお面を取る。
風魔:「( …女か?)」
顔は青白く息は既に虫の息といった感じで今にも死にかけている事間違いなかった。
風魔:「( 一体何者だ?此処は既に小田原の領地、何処かの間者かもしれんが…念の為応急処置だけはしておくか…。後の事は主に報告してからだな。)」
風魔は手当てをする為、服を脱がすと深い傷口よりもお腹に刻まれている模様に目が止まった。
風魔:「( これは…まさか禁術!?確か風魔に伝わる秘書にもあったはず…まさかこんな珍しい物が見れるとは…。)」
風魔は今までになかった興味心を抱き始めた。
風魔:「( これは絶対逃がしてはならぬ。何としても今はこの者の命を救う事が先決。この者の正体を探るのはその後だな。)」
風魔は急いで懐から布と薬草を取り出し手当を始めた。
そして終わると彼女を抱き上げ急いで小田原城へ向かった。