風の間(長編)

□異世界
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穩罠 「ハアハア……。チッしつこい奴等だ!」

穩罠は2人の忍びに追われ、体は傷だらけの上疲労困憊の状態だった。
逃げている所に一匹の鴉が現れ、まるで着いて来いとでも言っているかの様な鳴き声で訴えている。

鴉 「カーカー」バサバサと穩罠の周りを飛びまわり穩罠は後ろを警戒しながら渋々着いて行くと綺麗な池に着いた。

穩罠 「 池? 」

ヨロヨロとした足取りで池に近づくと突然光に包まれた。

穩罠 「 ! くっ…」

突然の光に目を瞑り穩罠は光に呑み込まれ姿を消した。



意識を失い目が覚めた頃、見慣れない天井が映った。そして体は手当てされ布団に包まれていた。

穩罠 「 ……此処は?」

風魔 「( 小田原城だ。お前は何者だ?何故あそこで倒れていた?)」

穩罠 は近くに居た男の姿を見る。声は無くとも微な音と口の動きで彼の言葉が分かった。

穩罠 「おだわらじょう??聞いたことない場所だ。それよりもあいつら…暁の連中はどうなった?」

風魔 「(暁?そんな連中は知らん。倒れていたのはお前だけだった。もう一度聞くがお前は何者だ?)」

穩罠 「私の名は穩罠だ。元、木の葉隠れの抜け忍といったところかな。今は宛も無く旅をしていたところ襲われて逃げてたところをあんたに助けられた。礼を言う。」

風魔:「いや、俺は主の命令に従い助けたに過ぎん。礼なら俺の主である氏政様にしろ。」

穩罠:「分かった。ところでお前も忍なのか?」

風魔:「ああ」

穩罠:「ならば駄目もとで聞くが名前は何という?」

風魔:「風魔小太郎だ。」

穩罠:「…(風魔小太郎か…何かの書物で読んだ覚えがあるが…確か物語の架空人物だったような…)」

穩罠:「そういえば私の付けていたお面はしらんか?」

風魔:「ここだ」

風魔は懐から狐のお面を出し穩罠に渡した。

風魔:「お前の素顔は俺と氏政様しか見てはおらんから安心しろ。これから氏政様に報告に行く。お前はもう少し寝ていろ。」

そう言い風魔は消え穩罠一人部屋に取り残された。
辺りの気配が全くないところ人払いしてある事が伺える。

穩罠:「(せっかくだ。もう少し寝ておくか…)」

穩罠は目を閉じて静かに眠りについた。
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