short

□さよならだけがとんでった
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「…俺、渡米することになりました」


すると先輩は振り向いて、そっか。って笑った。

違う、違うよ。

今回はいつもみたいな短期間の渡米じゃない。


「7年…日本には帰らないことになる」

「……え?」


もういちど振り返った先輩はもう笑顔じゃなかった。


「7年…てっ、」

「次に俺たちが会えるのは先輩が25で俺が24」



先輩が俯く。

当たり前だ。

恋人である人と7年間も会えないなんてきっと耐えられない。

俺も、それから先輩も。


「ねえ、だからさ。」


俺がポケットから取り出したものを見て驚いたように先輩はもう一度俺を見た。



「先輩のこともらってあげるから一緒にこない?」

「それっ…嘘じゃないよね…っ?」


泣きながら俺の持っている小箱を指差すから俺は笑って中のものを先輩の薬指にはめてやった。


「どうせ俺、あと1年は待たなくちゃいけないけど…」



俺と結婚してよ。


泣きじゃくりながら何度も何度も頷く先輩を俺はゆっくり抱きしめた。


end

2013.2.26


お題:はこ
 

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