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□ラズベリーアフタースクール
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放課後の教室。

一人の男子が机に突っ伏して悪態をついている。

わたしはそいつを無視しながらノートにペンを走らせていた。

目の前のそいつはわたしと接するとき以外の全てにおいて偽物だ。

にこにこと振舞い、明るく優しくがモットーのように。



「あーあ…今日も疲れちゃった」

「じゃあ今のあんたをみんなに晒せばいいんじゃない?」


鳳長太郎は起き上がると怪訝そうな顔でわたしを睨んだ。


「へえ、随分と生意気な口利くんだね」

「……ちょ、」

長太郎の爪がわたしの肩に食い込む。

そのまま机の上に押し倒された。


「宍戸さんの従妹?背徳感?心地いいくらいだよねえ」

「っ…ここ学校なんですけど、」


長太郎は薄く笑って首筋に顔を埋める。

こいつ…ヤる気だ。


完全下校時刻までは裕に三時間くらいあるし廊下には人だっている。

せめて音楽室とかに、って思っている間にも長太郎の舌は徐々に下がってきていつの間にかYシャツのボタンは全開だった。


「ばかやろっ…」

「ははっ、前から外せるブラとかお前どんだけヤる気満々なの?」

「ふっ…うるさい、」

下唇を噛み締めて必死に彼の言葉攻めに耐える。


「でもいいや、焦らすのはやめ。今日は部活もあるし、なまえのことだからもう下もいけるでしょ?」

ブラは外されず、かわりに長太郎の指が太ももをなぞり這い上がってきた。


「すごいびしょびしょ……てかここ固すぎ」

パンツの上から突起をぐりぐり押されて一気に身体の力が抜けた。


「ふ、あぁんっ……!」

「馬鹿だなあ。声押さえないとバレるって。ここ一般教室なのに」


一般教室でいきなり盛りだしたのは誰だ。



「ほんっと…性格わるい」

「光栄です」


直接刺激を加えられてわたしは呆気なく達した。


「こんなに漏らして、いけない子だねー」

「…ちょた、ろ…っ」


ダメだ。こうなったらもう我慢なんて出来ない。


「俺のほしいの?」

「……うん」

長太郎がにやりと笑う。


「じゃあまずキスね。」


これは長太郎の悪癖。

こういうとき、いちいち条件をつけてくるのだ。

自分でも馬鹿なのは百も承知だけれどわたしは仕方なく口づけてしまう。

舌を絡めようと必死になっているところで長太郎の指が下に差し込まれた。


「んっ…!?」

「ほらほら…集中。」

下をいじられながらキスなんて出来るわけなくて、わたしの口からはだらしなく涎が伝っている。


「ふぅ…相変わらず下っ手くそだね」

長太郎がそう呟くと同時に指が抜かれ、それとは比べ物にならないほどの質量がわたしを貫いた。


「いっ、…!」

何度やってもなれない痛みに思わず顔をしかめる。


「…すぐ気持ちよくなるから力抜いて。ほら、肩掴んどいていいから」

「んん…っ」


こういうとき、長太郎はやけに優しい。

変だ。とても変。いつもはあんなに最低なくせに。


「も…っ、無理」

「いきたい?」

長太郎の動きが止まる。


「言わないと俺わかんないよ、馬鹿だから」

わたしは唇を噛み締めて声を紡いだ。


「いかせて…っ」


その瞬間、彼の動きが一気に加速して気を失いそうになる。

下半身から何がが込み上げてくるような感覚。


「ふ…っ、ああ、あぁ」

「そんな締めつけんなって…っ、」

「はぁっ…ちょ、たっあああっ!」


膣内がきゅううっと収縮して次の瞬間にはどろっとした生暖かいものが広がった。

それが長太郎のものだということを頭がゆっくりと理解していく。

そしてぼーっとしていた頭は長太郎がそれをわたしから引き抜いた際に現実に引き戻された。


「ねえ、お前さ…」

わたしが何も言わずに長太郎のほうに視線を向けると、彼は何とも言えないような顔で俯いた。


「なに?言うことあるなら早くしてわたし帰りた…」


突然に腕を少し強い力で引っ張られて唇になにかが触れた。

わたしは何が触れたのかしばらくわからないでいた。

非常におかしな話だが長太郎がキスしてくるなんて初めてだった。

俗に言うセックスフレンドであるわたしたちは恋人たちがやるように抱きしめ合ったりしないし、キスなんてもっての他。

ではなぜ長太郎はわたしにキスをしたのだろう。

それがわからないからわたしは目を見開いて長太郎を見つめることしかできないのだ。


「なに…してんの」

「うん、ごめん。忘れてくれていいよ」


謝罪の言葉を口にするなり長太郎は後片付けをし、立ち上がる。

気づいたらわたしはそんな彼の腕を掴んでいた。


「そうやって…逃げるの?」

「……っ」

「自分で勝手に決めつけないでよ、わたしが長太郎のことどう思ってるか」


長太郎の目が驚いたように見開かれる。

わたしはもう逃げなかった。


「長太郎はとんでもない最低な人だけど、わたしはそんなあんたが好きなの」


静寂。

教室にはわたしの息づかいだけがしばらく響いた。


「…もういいや」

やっと彼が発した言葉はそれだった。

わたしが聞き返す前にわたしの体が長太郎の腕の中に収まる。


「もう逃げない。でもその代わり、大事になんてしてやらないから」

「大事にしてくれたことなんて一回もないくせに」


そういって笑うと、彼はいままでに見たことがないくらいに意地悪に笑ったもんだから。


「ああ。もう逃げらんないね」

そんな言葉も彼の口づけに全て飲み込まれた。



end


2013.2.13


ちょたの言葉だけしか手がかりがなかったんですけど、この子は宍戸さんとこの従妹です。
 

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