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□乗り越えていく。
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ブン太とケンカした。
そして今、申し訳なさそうな顔をしたブン太が目の前にいる。
「最低…っ」
「ごめん、俺最低だよな」
いつもはうざいとかいうレベルじゃないくらい自意識過剰なくせにこういうときだけ狡い。
もっと突っぱねてよ。反抗してよ。
「振るに振れないじゃん…」
そしたらブン太は悲しそうに笑った。
「俺最低だし、振れよ。それ相応のことしてお前のこと傷つけたし。俺なんかと一緒にいても…」
「ばかっ!ばかブン太!」
言葉を遮って大声をだしたわたしをブン太は驚いて見つめた。
それでも構わず続ける。
「そうやって変なとこで無駄に優しくて、そういうとこ見せられたら嫌でもブン太のこと好きだって思っちゃうんだよばかあっ…」
叫び終わったと同時に目から涙がぼろぼろと零れてきた。
そしたらいつの間にかブン太に抱きしめられていて。
「ごめん…俺も好き」
それだけ聞いたら急に安心してお腹が減ってきた。
「ブン太…お腹減った」
「しょーがねーな、そんなぐしゃぐしゃでブスな顔もたちまち笑顔になるメシ作ってやるよぃ」
ケンカとかばっかだけど、わたしたちはこうやって乗り越えていく。
end