成長記録

□第弐巻
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声がする。



瞼が重い。開けたくない。

だけど、目を開けろと頭がうるさい。





心の中で葛藤するも俺は眠ってしまった。





いくら時間がすぎただろうか、

そっと目を開き身を起こす。


『……ここは、、』


ぐるりと周囲を見渡すと、
ある一点に
一人の人と手が見えた。

手はその一人を慰めるようにうねっている。


俺の声に気付いたのか、
髪の長い人形みたいな女が近づいてきた。


「勝手に連れてきて…ごめ、なさい……」


泣いていたのか目が腫れている。

女の涙ほど面倒臭いものは無いだろう…。


自然とため息がでるも、
は、と気付いた。


意味不明すぎんだろ、
謝る意味が分かねぇ

この女が俺を連れてきたのか…?


それは当たり前であろう疑問であった。


『…意味わかんねぇから、まず説明しろ。』


びくっと大袈裟なほどに肩を跳ねさせたそいつは口を開いた。


「それ、は…………っ…」


が、それは襖が開いた事により閉ざされた。




また面倒臭いのがきたか…、



入ってきたのは長髪白髪のなんか全体的にきもい奴。


「目が覚めたのですか?ならば行きましょうか…」


女を見るも、起きている俺を確認すれば
来いと言うかのように視線を寄越す。

説明が欲しいと思ったのだが、
ついて行けば説明もあるだろう。


『……分かった』

と、そう返した。


それにもう一つ、

明らかに怪しい動きをした奴だが
この女は話しをするには
今にも泣き出しそうな雰囲気で
面倒臭い。



ほぼ仕方なく立ち上がり
ついて行こうと部屋から出る。


龍汰は襖を後ろ手で閉め
男の後に続いた。



すると

「事情は聞きましたか?」

なんぞと問い掛けてきた。


多分あの女は
説明役だったのだろう。


突っ込む気もなかった故



『何も聞いてない…。』

と返すと

その男は業とらしく


「それは困りますね…」


なんて言っている。



まだ歩き続けている途中であり
その男の歩く速度は
始めにくらべ大分と速くなっている。


『…何を焦ってんだ。』


半分呆れが混じった
声音で問い掛ければ少し
驚いたように目を開けながら



どこかで会った事あります?
と小さく聞きたいのか
聞きたくないのか分からない声で
問い掛けてきた

返事する意味もなかった為
口を開かないでいると



「信長公が…」


となんだかんだで話し始めた。


要約すると…

信長さんとやらが急に倒れたらしい。
それで、さっきの市とか言う奴が
治せる能力を持った奴を連れて来ようと
BASARAを使ったら俺が出て来た、と…


一つ言わして欲しいんだがな、
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