成長記録

□第壱巻
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人間なんて嘘の塊だ

俺はずっとそう思っていた。

っつーか思ってる


「おい、聞ぃてんのか?ねぇちゃんよぅ」


夜は厄介だ

頭の悪い奴らが自分の限界も分からず酒を飲む


今も俺の性別を間違えるような馬鹿なやつが俺を呼ぶ


「うら、おじちゃんといーことしない?」


顔を赤くしたおっさんが俺の手首を掴んだ


……面倒臭い。こんなやつに生きる価値があるのか?

人間は皆、生きる権利があるなどいうが
こいつらは無いだろ


黙り続けてるとおっさんは
何を勘違いしたのか
俺の下半身へ手を伸ばそうとした


『お前は阿呆だな、近付くな』


手を叩き落としてやった。

生憎相手をしてる暇など一時もなかったが
回し蹴りを一発決め、伸びてる間に路地へと入った。



本当に人間など馬鹿だと思う。


愛情、友情……?


んなものあるだけ無駄だ。


俺はもう何にも期待などしない。



どうせ他人だ
そのうち裏切られるのが落ちなんだ。



路地からでると何も知らない所に出た。


戻ろうかとも考えたがあいつと会えばまた厄介な事になる。



本当に面倒臭い…



適当に携帯を手にしつつ歩いていると、
見慣れた道まで出てきた。


何もかも、壊れてはくれないだろうか。



小さく口に出せば馬鹿らしい、とため息をついた。


人間は馬鹿だ。だけど俺も相当の馬鹿だ……
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