遊撃ClocK

□PROLOGUE 01
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ふとしたきっかけでまた奴らが攻めてくるかも知れない
そんな状況に耐えられなかったのだろう、政府の人間も守られるだけ守られていたくせに偉そうにする一般市民たちにより、少年を筆頭に特殊部隊は復活を果たした

今の特殊部隊に所属する人間は皆、酷く年若い
いや、年若いやつしか強い能力者がいないのだけれど
そんな若い彼らに人々は未来を託した。本人たちの意思など関係なく
それが幸福か不幸かなど本人たちが決めること

それでもやはり、気持ちは晴れずにいた

いつか彼らと合流して微力ながらに力を奮ってやりたい気持ちと、今の今まで放置してしまったのが酷く申し訳なく、今更どの面下げて出ればいいのかという気持ちがあり、足を竦めていた




しかし、それもここまでらしい

下の、瓦礫に塗れた如何にも荒廃した世界を映し出す道路を一人の少年が何かから逃げるように走っているのが見える
その少年が羽織っている少し大き目な上着を翻し、息を荒げていた
その上着には「刻対処部隊 クロック」と書かれていたのを見つけ、つい失笑してしまう
しかし、その笑みも彼を追っている存在によって引っ込んだ
―――成り損ないだ

「よっ、と」

立てた膝に手をついて、立ち上がる
風のせいで靡く髪を払いながら、首に掛けていたゴーグルを装着して、追いかけっこをしている彼らを見据えた
渇いた唇を舐め、息を一度吐きだす

もう足を竦めることを、現実から逃げるのは止めろと言われているように思えたのだ

一歩踏み出し、空中へと身を投げる
上からの襲撃など予想していなかったらしく、驚いたように奴らは呻き声をあげる
くるりとその場で回ればあら不思議、やつらの胴と頭は分離していた、といっても俺がやったのだが
周りを見渡せば、いつの間にか集まっていた成り損ない達
後ろを見れば、驚愕の色を隠しもせずに驚いた顔でこちらを見る少年

「やぁ、初めまして少年。お困りのようだったから勝手に出しゃばったがよろしかったか?」

わざと、おどけた口調で言えば少年の目は尚のこと驚愕の色に染まった
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