頂き・捧げ作品群
□コープス・パニック!
2ページ/5ページ
「アハハ…落ち着いてよ2人とも!」
浴衣の袖をパタパタさせて女は笑った。
「「……ん!?」」
聞けば、その声は聞き慣れている声色で…
頭はまだ恐怖で痺れて状況が掴めない。
でも緊張が緩んできて何となくわかった。
「…ヨシュア…なの?」
「2人して いい反応をありがとう♪」
「ど、どういう事だよ コレ!!?ι」
「2人へのドッキリを兼ねた胆試しさ!
でも今はそんな事はどうでもいいんだ……
それよりも問題があっ──…」
「よ、よくなーいっ!」
涙目のネクが長い髪を引っ張ると
それは案の定、ウィッグで、
ズルリと綺麗に取れて地面に落ちた。
いつもの見慣れたハネっ毛の強い銀髪。
でも髪を取っても、特殊メイクがリアル。
顔に血の気が無い。真っ青。
こ、これはこれで充分にホラー!
「喧嘩してる場合じゃないよ!」
「場合じゃないって……何かあったの?」
「一緒に仮装してた尾藤兄妹が
本当に消えちゃってね…、探してるんだ」
「Σえっ!? マジで消えたのか!?」
「お陰でドッキリ中止。失敗だね…
尾藤兄妹探しに変更になりそうだよ〜…」
(ほ、本当にビイトに何かが…!?)
シキは拾った帽子を握りしめる。
こんな時間にこんな場所で消えるなんて…
これこそ本当に偶然じゃなさそう…
もしかしたら…
「ネ、ネネネネネネクぅ……!ι」
「ビイト、嘘だろ?あはは、嘘だ(苦笑)」
神隠しにでも遭っていたら──…
…縁起でもない考えばかりが浮かぶ。
体から体温が逃げていく。
一方、墓地を指差して笑うヨシュアは、随分と余裕そうで、ある意味頼りになる。
…でも顔が怖いから笑えない!!!
「探すの手伝ってくれる…よね?」
「あっ、当たり前だろ!2人が心配だ…っ」
「さ、3人で探そうっ 仲良く!!!」
「ありがとう、助かるよ…!!」
ネクは携帯に付属しているライト機能を懐中電灯代わりに墓地探索する事にした。
これなら多少は怖さも軽減する?
「ヨシュア、案内頼んでいいか…って、」
「あれー?ヨシュア…どこ?( ´・ω・)」
2人が振り向いた時には、
忽然とヨシュアの姿は消えていた。
どんなに目を凝らして見渡しても、闇の中に映えるはずの白色は見当たらない。
…また悪寒が襲ってきた。
もしかしたら、このシチュエーションさえ
ヨシュアの計算かもしれない…!
(ドッキリは まだ続いているの?ι)
(ヨシュアとビイト…共犯か!?
というか共犯ってオチにしてくれ頼む!!!)
友達の為にも逃げ出すわけにもいかない。
5人の友情は何よりも強い…
暗闇に負ける程、弱い絆ではなかった!
「…行こうシキ。絶っ対に、はぐれるな」
「うん…!」
2人は覚悟を決めて、一歩…
魔境へと踏み出す!
.