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□FGOログ
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坂本龍馬という男には青空が似合う。それもとびっきりの真っ青で雲ひとつない目に焼き付くほどの清々しいほど青空が。青空を背にして笑うその姿がただただ好きだった

それを口にする気は一切ないが、それでもやはり、好きなもんを見たいというのは人間の性で
ある日の晴天の時、彼の腕を引っ付かんで窓の前に立たせた
あいにく様、窓越しだったのは残念だったがそれでも青空を背にした彼は一種の芸術のようだった

いけすかない服はまぁ、この際見逃してやろう。あの澄ました表情は鳴りを潜めて、へにゃりと気の抜けた笑顔で自身を呼ぶ姿に純粋にただ、ただ彼に苦しみもしがらみもなく笑ってほしかったのだと気付く中、いつの間にか隣にいたアヤカシがにやりと笑い「いい趣味だクソ雑魚ナメクジ」と言ってくる

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「おまんが言う、皆の幸せっちゅうのはわしや先生も含めとったんか」
ふとした疑問を目の前の非現実的な夢を抱き、それを追った人に投げつけた
投げつけられた彼は、垂れた目をいつになく大きく見開き、瞳を揺らがしながらそれ以外の部分は時間が止まったかのように固まった
「餓死で死んだとか色々あるじゃろ、そいつらも幸せにしたかったんか?」
ごきゅり、目の前の男の白い襟に包まれた喉が音を鳴らす
「龍馬、聞いちょるんか」
気付けば、自身の喉から責めてるわけではないが、相手を追い込むことが目に見えてわかっていた言葉を吐いていた
やっとこさ、時間を取り戻したらしく、ゆっくりとした仕草で下を向き、白の中折れ帽で顔を隠して一言「おん」と肯定の言葉を吐いた
「ごめん、ごめんなぁ以蔵さん」
絞り出したかのようなか細い声は酷く震えていた

嗚呼、こいつは背負う必要もないもんをわざわざ背負って今も歩み続けているのか
あまりにも馬鹿みたいな底のないお人好しのドを越えた何かに盛大に舌打ちをかました



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