Special thanx...(*^^)v
□信じがたい現実
2ページ/101ページ
『私達が普通の結婚生活をしてないのは、お前も知ってるじゃないか』
『ゴシップ記者はそういう話に飛びつくだろうね』
ポールはクスクス笑った。
『おかしくなんかない!』
『とにかく、僕が今の状態を我慢していられる理由はひとつだ。君が夫と寝ていないことがわかっているからだよ。まさに謎だね。五年前に君と結婚したというのに、君の夫ときたら、人前に出るときには頭の弱い美人を腕にしがみつかせていいるんだから……こんな美人な妻がいるのに、彼は馬鹿なんだろうよ』
カガリは胃がひきつった。ポールに結婚生活の実情を打ち明けたのは軽率だったかもしれない。
『アスランのことをそんな風には言わないでくれ』
『テーブルに盗聴器でも仕掛けられているとでも?君は彼が怖いんだろ?離婚を切り出すなんて君には無理に違いない。僕は時間を無駄に……』
『無理なんてことはない。絶対に!』
カガリは掠れた声で必死にいい募った。
ポールを失うなんて考えただけでパニックに飲み込まれそうだ。この五年間の生活に戻るなんて耐えられない。
虚ろで退屈な日々。ポールが現れるまでは、空白の毎日がとめどなく目の前に広がっていた。私には社交の機会もなく、友達もいない。どこかに出掛けても見張れているのだボディーガードに……
私は牢獄の扉を結婚式の日に閉められたのだ。私は本当に馬鹿でウブで、扉の外に出ようとするまでそのことに気づきもしなかった。
『じゃあ。いつ話すんだ?』
ポールは不機嫌そうに聞いてくる。
『もうすぐだ。約束する』
『どうして君がさっさと家を出ないのか、僕にはわからないよ。彼と別れるのに必要な証拠は唸るほどあるじゃないか。アスラン・ザラの行く先々で不倫が大流行か?』
カガリはチラリと腕時計を見て、狼狽えた声をあげた。
『大変だ。もう行かないと……』
ポールはカガリの肩に手をかけて、もの慣れた仕草でキスをした。
『また電話するから……』
カガリはその場所から逃げるように去った。
マッサージと美顔術のために予約した美容室は三ブロック先にある。
アスランに離婚を求めるのを延ばせば延ばすほど、ポールとのことが見つかる恐れが大きくなると頭ではわかっている。
早々にアスランと決着をつけねば…
・