La novela

□Same dream
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第1章
〜繋げない手〜

戦争は終わったのだろうか…
目の前の海は空は…君も…
穏やかだ…

特に目的も無く歩く

ほんのさっき慰霊碑の前で
シンやキラ、アスランたちは再会した

風はそんな彼ら達の気持ちを知ってか知らずか時に優しく強く吹いていた

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アスランは、オーブ連合首長国で軍人としてこの国に留まっていた

これまで自分がしてきたことが正しかったのか今でも悩むこともある

しかし、とりあえずの平穏な毎日に少しずつ過去ではなく、未来のことも考えられるようになっていた


「じゃぁ…俺はこっちだから…」


一緒に歩いていたメイリンに言った


「ぁ…ぇっ…久しぶりですし少し話しませんか?」

突然のメイリンの誘いに

「…そうだな」


アスランはそう言ってまたどこへ行くでもなく歩き出した。



メイリンから話そうと言われたが
特に何も話さぬまま無言の時間が過ぎた

どれくらい歩いただろう?


「ぁ…あのっ!これからどうするんですか?」


この無言の時間についに耐えられなくなったのかメイリンが思わず口を開く


「話するんじゃなかったの?」


遠くを眺めながら特にメイリンの方を
向くわけでもなく答えた


「…そういう意味じゃないです。今後、どうするのかな?って思って。
アスランさんはこのままオーブで暮らしていくんですか?もぉプラントには住まないんですか?ZAFTには…」

メイリンにも聞きたいことはいっぱいあった

けれど

言い終わらないうちにアスランは


「戻れるわけがないじゃないか、…まぁ戻るつもりもないんだがな。」

と言い放った。

なんだか言葉に力を感じない言い方だ。



「そう…ですか。別に軍に戻らなくてもプラントで過ごすとか、その…あの…」

うまく言えずにいると

やっとメイリンに視線を合わせ

「君は?メイリンはどうなんだ?」

とアスランは聞いた。


質問返しをされたメイリンは
ちょっと考えてから


「私は…プラントに。」


そしてまた黙りすこし時間をおいてから


「私の故郷はプラントですから。だから…
でもアスランさんだってそれは同じで…
上手く言えないですけどプラントへ帰って来て欲しいです。」

と言った。


アスランはちょっと困った顔をして視線をまた遠くの景色に逸らす。


「俺がどこにいても同じじゃないか?」


「同じではないです。私はカガリさんに…」


「カガリに?」


今まで雲の上の方に魂が行ってしまっていたかのように話していたアスランが強い反応を示して聞いた。


「別になんでもないです。ただよろしくと…」

「えっ?」

「アスランさんをよろしくって。」

「そうか…。」

それからアスランは

「俺は大丈夫だ。メイリンは自分の思うように生きればいい。
心配してくれたのか?ありがとう。」

と何か思い出したように言った。


「心配というより…」

と言ってそこで黙ってしまったメイリンは
そういう意味じゃないのにと心の中で呟いた。


また会話は止まってしまった。

今度はアスランがそれに気づき話かける。


「プラントにはいつ戻るんだ?」

「ぁ、2日後です」

「そうか…」

「私、そろそろ戻ります。お姉ちゃんも
心配してるかもしれないですし。」

「あぁ…送って…行こうか?」

「大丈夫です。だって凄く近いし」

メイリンが微笑んでアスランを見た。

送ってくれると言われて、何故か嬉しかったが引き留められないことに悲しくもなる。

(私はこの人にとってどんな存在なのか…)

本当は怖くて聞けない。




そのままメイリンが戻ってしまった後も
アスランは1人海沿いを歩いていた。

今日はもう予定が無い。

キラ達はマルキオ導師や子供達に会いに行ったようだ。


それぞれが思い思いに過ごす穏やかな日
アスランもまた穏やかな心内の中に
カガリへの思いもあった。


アスランはカガリに出会い、時に敵として仲間として戦い過ごしてきた日々を思い出す。


よく考えてみれば、こんなにゆっくりと
思い出に浸ることなんて今までなかった。


空も抜けるように高い
太陽は降り注ぐ

オーブは平和だと…叫んでいる


アスランは浜辺の流木に腰かけて一息ついた。


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