万有引力の法則ブック

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いつからだろうか、
あいつを目で追うようになったのは。


いつからだろうか、
ほかの奴と話しているとイライラするようになったのは。













甲板の樽の上に座っていると後ろから声をかけられた。



「どうしたよ、眉間に皺寄せて!」



「・・・サッチかぃ。
・・・別に、これといって理由はないよぃ。」


「嘘だな。

名無しさんがほかの奴と話してるからムカつくって顔に書いてある。」

ニヤニヤしながらサッチが言った。


「好きなんだろ?名無しさんのこと。」









「・・・あぁ。そうだなぃ・・・」


「らしくねぇじゃねぇか。
かの有名な1番隊隊長様がねぇ〜・・・。

好きってわかってんなら伝えればいいだろ?」





サッチの言う通りだと思った。
だが、この歳になって恋をするなんて思ってもいなかったせいか、どうしたらいいかわからなかった。


あいつは、自分の部下で。


明るくて素直な性格だからみんなから好かれていて。

そんなあいつに自分が好きだと言う資格なんてあるのか。



言ってしまったら・・・

もし、振られたらこの関係が崩れてしまうんじゃないか。


そう考えると、柄にもなく怖くて仕方がなかった。






「っぷ!ハハハッ
お前、それでも海賊かよ!」
馬鹿にしたような大笑いでサッチが言ってきた。


「うるせぇよぃ!」
その笑いに少し苛立ちを感じた俺は、少し声を荒げた。





「欲しいもんは奪う!
じゃないと、他の奴にとられるぞ?」

そう言いながら名無しさんの方を指差した。



「名無しさんと話してるあいつ。
それだけじゃねぇ。結構いろんな奴が狙ってるらしいぞ。

いいのか?取られても。」




「・・・・・・・・。」










そんなの、嫌に決まってる。


「とにかく、早くしねぇと。
昨日も誰かに告白されてたぞ!」


「!!




・・・わかってるよぃ、そんなこと。」



「おーぃ!サッチー!ちょっと来てくれー」



「っと、じゃあがんばれよ!」
そう言って肩を叩かれた。



「そんなこと、わかってるよぃ・・・。
・・・」



そうつぶやいてあと少し残っていたコーヒーを一気に飲み干した。













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