Short dream

□気のせいなんだってば!
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あの人はどこにいるんだ?
一番隊副隊長の私は今、隊長を捜しているんですが、一向に見つかりません。


そこにいるんだ、あのアホ隊長。





・・・いた。
いたわ、あいつ。

よく見ると、食堂の端の席で、どうやら外の景色を優雅に眺めている。



『あの、マルコ隊長。
仕事もせずに、何してるんですか?』


「あぁ、名無しさんかぃ。
今、ちょっと窓から目が離せないんだよぃ。」



は?・・・窓?





『景色見てたんじゃないんですか?』
(どっちみち海しか見えないけどな!)


「いや、ちょっとねぃ。


窓に映った自分から目が離せないんだ。」




かっこよすぎてよぃ!っと言って彼はため息をついた。


うっざ!
何このウザさ。



「まぁ、いつでも見れるからねぃ・・・
そろそろ行くとするか。」



そう言って彼は立ち上がった。
そして、馴れ馴れしく私の手を繋ぐ。


『あの、離してください・・・』


「離すわけないだろぃ?」



何でだこの野郎!


「名無しさんは、俺の大事な副隊長と言う名の彼女だからよぃ!」

と言って、何やら片目のまぶたをパチっと瞬きした。


『あの・・・目にゴミでも入ったんですか?
目薬ありますよ?』


「おいおい、冗談だろぃ?
ウインクしたんだよぃ。」


・・・あーそうですか。


とりあえず親父さんに呼ばれているんですが・・・と説明すると、彼は着替えるために自室に戻っていった。


何で着替える必要があるんですか?
ただ親父さんのとこに行くだけなのに・・・。






15分ぐらい経っただろうか・・・。
いつまで待たされるんだ?

「待たせたねぃ」

『あの、来るのが遅いです。』

「知らないのかぃ?
ヒーローとイケメンは、遅れて参上するのが当たり前なんだよぃ!」


っけ!
屁理屈ばっか言いやがって。



そして、二人で親父さんの部屋に来た。


「遅かったじゃねぇか、名無しさんにマルコ。」


えぇ、全部こいつのせいです。


「服選びに・・・戸惑ったもんでねぃ。」


「またマルコのせいなのか・・・。
あんまり俺の大事な娘をイジメんなよ、馬鹿息子!」



ほんとだぜ!
もっと言ってくれ、親父!


「今日二人を呼んだのはちょっとお願いがあってな。
近くに俺の親友がいる島があるんだが・・・そいつに手紙を届けてほしくてな。

二人で行ってきてくれるか?」






・・・は?

『いや、お断りします!』


「名無しさん、まぁそう言わず・・・
早くて3日で着く島だ。」


いや、3日もこの隊長と一緒なのは無理です。


「わかったよぃ、親父。
じゃあ名無しさん、俺の背中に乗ってくぞぃ!」


いや、嫌です・・・。





半ば強引に甲板に連れてこられた。

「名無しさん、いつまでそんな顔してんだぃ?」


『だって!
嫌ですもん・・・!』


「名無しさんは、そんなに俺のことが嫌なのかぃ?」


『あ、当たり前です!』


「俺は、名無しさんのこと結構好きだけどねぃ!」


そう言って、いつものあのキザな笑顔で笑った。


『んな・・・!
わ、私は好きじゃありません!』


「クククっ」


『な・・・何で笑うんですか!』



「だってお前、顔赤いよぃ。
全く・・・名無しさんは素直じゃないねぃ!」



『・・・!
そっ、そんなんじゃありません!』


「名無しさん、そう言うとこも結構好きだよぃ」


『ーーーー!
違うったら、違うんです!』










顔が赤い・・・?

きっと気のせい!!



のはず。





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