Short dream

□サッチの格言
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『あー・・・辛いな・・・笑えない』



失恋をした

私は4番隊で、その人は1番隊の隊長。
あまり会えることもなかったし、会話なんてしたことがなかった。


でも、この船に乗って初めてあの人を見た時から私の恋は始まっていた。


それと同時に失恋も確定していた。


いつもあなたはあのナースの子と仲良くしゃべってる。
付き合っているのか、確信はなかった。

ほんとは、確信はあったけど・・・認めたくなかった。


今日もまた、ほら

今まで見たこともない優しい笑顔で微笑みかけてる

私ではない、他の人に。






しばらく、胸が引き裂かれる想いをして過ごす日々が続いた。
何とか踏ん張りながら、時間はゆっくりとゆっくりと流れていく

過ぎ去った日々を思い出しては一瞬だけ忘れ、また思い出しては一人殻に閉じこもる。
もう何の力も湧かないような冴えない日常を
送っているだろうと思う。

体重もどんどん落ちていった。

終いには栄養失調で倒れ、今は病室のベッドで過ごしている。


明らかに窶れていく私を心配してか、毎日毎日サッチ隊長が様子を見に来てくれる。


「何があったとは聞かねぇからさ、とりあえずこれでも食って元気だせよ!」

そう言って差し出してくれたお盆には、暖かそうなスープがあった。


『食べたくー・・・ないんです。

もう、生きてるのが・・・見てるのが辛いんです。』


「マルコのことか?」


サッチ隊長は知っていたんだ・・・


私の目は、また水分を帯びていく

そんな私を見て、サッチ隊長は手を私の頭の上に置いた。



「いいか、名無しさん。
今失恋したことにどれだけの意味があるか、それを考えるんだ。

例えば、
自分の魅力って何だろう、
自分はこんなに寂しがりやだったか、
一人でいることがこんなに辛かったのか、
何のために自分は頑張ってるんだろうか。
夜って、こんなに暗くて怖いものなのか。


いろんなことを『考える』んだ。」



『かんが え る?』


「そうだ!
人間ってのはよ、考えたくなくても気がつけば勝手に何かを考えてんだ。

それはマイナスじゃなくてむしろ前進している。
その考えることにムダは一切ない。」



『・・・』



「すべては経験だ。
『今』はいずれ名無しさんの過去の財産になるからよ!

今は辛いよな。苦しいよな。
でも、この時間を無駄にしちゃいけねぇ。

そんで、ひきずることも、再アタックして砕け散ることも、あとは名無しさんの好きにすればいいんだ。」


何かあったらこのサッチ様がいつでも相談にのってやるからよ!

そう言って、頭を撫でてくれた。



自分は今何をやってるんだ・・・

ボロボロになってるじゃん。
ただ、辛さから逃げてるだけじゃん。


なんて情けないの。


「わかったら、さっさとこれ食って早く元気になれ!待ってっからよ!


そしたら、マルコが後悔するぐらいのいい女になって見返してやれ!

俺はいつも一生懸命で真っ直ぐ素直な名無しさんの方が好きだぞ!」



『・・・!』



サッチ隊長、ありがとうございます




あーあ
私もサッチ隊長みたいな人を好きになればよかった!

元気になったら、まずマルコ隊長に気持ちだけ伝えに行こう。
それで、これはおしまい!


そしたら、絶対前進できるはず


そのあとは、サッチ隊長にお礼を言いに行こう。




絶対、いい女になろう!



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