妖精の姫君
□プロローグ
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その日、そこに訪れた青年と少女の手によって多くの人々の幸せな日々が一気に崩れ去っていく。
『た……すけてくれ……』
村は火に包まれる。
大人達は自らの魔法を駆使し二人組と闘った。
しかし、彼らの魔法は一切彼らに効かなかった。
呼び出した召喚獣たちは相手に届く前にチリとなり消えていく。
「なっ どうなって……」
「ククッ俺らの大事な人、返せよ!!」
黒い髪に真っ赤な瞳の男は目の前に立ち尽くす男の首をためらいらくはねる
「彼女ならここにはもういません。お願いですから、もう出ていって下さい……」
そう言いながら一歩彼らに近づいた女の人。男は彼女の言葉を聞いて片手で顔を覆い笑い出した。
「バカなことを言うな。じゃあ“あの人”はどこに行ったの?」
「それは……」
「なぁんだわかんないのか……なら死んでいいよ」
狂ったように笑みを浮かべたまま、刀をひきずりながら男はその女性に一歩一歩近づいていく。
「お母さん!!」