灰色幻想
□プロローグ
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「おい、準備できたのか?」
赤い髪の一人の男がソファーに片膝を抱えて座り目を閉じている金髪の少女にそう聞いた。
すると少女は閉じていた目を開き、立ち上がり、近くのテーブルに立て掛けてあった鞘に鎖が巻き付いている刀を手に持つ。
『……ラン』
少女がそう呟くように言うのとほぼ同時に男の肩に乗っかっていた銀色のゴーレムが少女の頭に乗る。
「仲良くやれよ」
『……知らない。私は私のためそこに行くだけ。仲間なんていらない』
男の言葉に少女が窓の外を見ながら告げると、男は深い溜め息をつき、先程まで少女が座っていた椅子の正面の椅子に腰かけた。
「何かあれば連絡してこい。力、あんまり使うなよ。」
『心配ない。そのためのこの子でしょ?』
「……コムイによろしくな。あっあと、あのバカ弟子にもな。」
男のその言葉に少女は頷き、裸足のまま開いている窓の枠に足をかけた。
『イノセンス…第2開放……』
少女の足首についていたアクセサリがー白い靴に変わり、ロングコートが出現した。少女はロングコートのフードをかぶり一度ふりかえる。
『……いってきます』
そう男に言い、少女はそのまま窓から外へ飛び出していった。