Slll・novel
□その愛は天に背いた。
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なんて、んな意味深なことを言やァ、単純なてめェらのことだから俺らのどっちかが死んじまったとか、変な勘繰りいれんだろ?
残念だったなァ
その手にゃのらねーよ
だから…
「早く目ェ覚ましなせェ…、頼むから…っ」
白くて無機質な部屋の中
聞こえるのは定期的になり続ける機械音とお前のか細い呼吸音だけ
真っ白な肌が部屋と同化しちまって…、
今にも消えてなくなっちまいそうだ…
横たわるこいつの腕をそっと持ち上げる。
大丈夫
まだ暖かい
「なんで、なんで、あのとき…」
"俺を庇ったりしたんでさァ…っ"
俺が受けるはずだった傷を、お前が代わりに受けたはずなのに。
何でですかィ
何でこんなに痛いんでィ
これが、好きな女も満足に護れなかった俺の罰ってやつですかねィ?
「お願い…でさァ…っ!これ以上っ、もう…、俺から大事なもんを奪わないでくだせェ…!神様…っ!!!!」
握り締めた掌は俺の掌を握り返してはくれない、
「好き…なんでさァ…!!!っ、好き、だ…っ、なァ…、だから…」
懇願するような俺の想いは唇を通して彼女の掌に吸い込まれていった。
その愛は天に背いた。
(ねぇ…そ、うごくん…っ、わた…っし、ね…?そうごく…んの…こと…っ)
神様なんか、大嫌いでィ。
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