√3xの心拍数


□√3→1×祭りの後の騒がしさ
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そこからは完全にいつもの黄瀬であたしの不安が馬鹿馬鹿しいくらいだった。


「はい、悠太くん。クレープっスよ!」

「ありがとう!お兄ちゃん!」

「どういたしましてー」


そんな二人のやり取りを見ていると悠太くんが手を差し出してきた。


『ん、わかった。手、つなごうか』


そう言うと悠太くんはにっこり笑ってクレープを持つのと反対側の手であたしの手を握り返してきた。

あたしの反対側には黄瀬が居て、にこにこと楽しそうだ。


「結澄っち〜、俺もなんか食べたいっス。奢って!」

『イヤ』

「即答?!」


酷いっス〜と黄瀬が泣く横で悠太くんとあたしが笑う。

結局黄瀬は自腹でたこ焼きを買った。

射的をして、ヨーヨー釣りをして、輪投げをして、メイド喫茶に入って休憩して、お化け屋敷に入って。

そんなこんなであたし達はずっと一緒に文化祭巡りをしていた。


「もうお昼っスよ。親の影も見当たらない」

『ん〜あたしもそろそろ限界よ。お昼から美男美女コンあるし』


そう言うと黄瀬もあっ!と声を上げる。


『あたしの周りはみんな忙しくて手がふさがってるし…。もっと派手に宣伝できれば見つかると思うんだけど…』


悠太くんを挟んで金髪がうんうん唸る。

そしてハッ!と突然頭を上げた。

…大型犬の耳が見えたのはあたしだけじゃないはず


「そうっス!宣伝、派手なのあるじゃないっスか!!」

『何よ?』

「その子連れて美男美女コンのステージに上がっちゃえばいいんスよ!」

『あ!!その手があったか!!…みどちゃん、子供平気かな?』

「そこは妥協してもらって…。緑間っちだって悪い人じゃないし、話せばわかる人っス!」

『…そうね。じゃあ悠太くん、お母さん探そっか!』


悠太くんは笑顔で大きく頷いた。

その手を引いてあたし達は体育館へと急いだ。



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