桜/魂


□ただ呆然と片鱗は
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(咲良視点)



ガラッと、少し古びた音を立てながら教室の扉が開いた。

数分前は晋助によって立てられたその音が今回は銀時によって立てられた。



『もーっ!どこ行ってたのよ!これで全員集まったわよね?』

「お?んだよ皆そんなとこ集まって…」


あたしとヅラを中心に寺子屋の生徒達全員が教室の隅に集まっていた。

そこに銀時も混ざる。


『いやーさァ、松陽先生に、日頃の感謝のお礼として寺子屋の皆で何かプレゼントしようってことになったんだけど、その案を今出してたところなのよ』

「プレゼントォ…?」


銀時は少し考える素振りを見せるとそのあとすぐに、あっ!と声を上げた。


「ケーキなんてどうだ!!?絶対ェ喜ぶって!!!」

『それあんたが食べたいだけでしょ』


けど、ケーキもひとつの案よねぇ…
でもケーキだと寺子屋では作れないから誰かの家にいって少人数でしなきゃいけないから皆からって感じでもなくなっちゃうし…


『と、言うわけで却下』



銀時に却下と言った途端、今度はヅラの手が上がった。


『ん、なに?』

「ぬいぐるみなんてどうだろうか!!!皆で大きなぬいぐるみを一つ作ってプレゼントというのは!!!!」

『ちなみにどんな…?』

「うむ…!!!真っ白でペンギンのような形をしていてコーヒー豆のようなくちばしのある生き物のぬいぐるみとか可愛くないか!?」

『それどんな生き物よっ!?!?!?』



まったく、趣味疑うんだけど…
てかなんでこいつこんな自信満々なの…?


目をキラキラとさせてどうだ!?と迫ってくるヅラの顔を押し退けて“他にアイデアはないのー!?”って半ば強引にスルーすればさっきあたしがダメだしした銀時と一緒になって教室の片隅でうずくまり始めた。


ちょっと、そこ二人鬱陶しいんだけど


「んじゃあ、寄せ書きなんてのはどうだァ?手間もそんなにかかんねェし、全員の気持ち伝えられていいんじゃねェのか?」



晋助がそう言うと、何故か全員が驚いたように目を見開いて、時が止まったようにシーンとなった。


え、えっ


『晋助がなんか真面目なこと言ってるぅ!?てかすっごい青春的!?え、なにこれ面白っ!晋助が言うと面白い!!!』

「ぶち殺すぞアバズレ」

『あぁ!?捻り潰すぞマセガキ!!!』


顔を付き合わせてビリビリと火花を散らすあたしらを見て周りは“また始まったか”と笑い出した。

まぁ、あたしも晋助も本気で喧嘩してるわけじゃないからね


『まぁ…でも、それが一番いいと思うわあたしも』

「なら最初からそう言えば良いじゃねェか」

『別にダメなんて言ってないでしょ』



じゃ、ま、これで決定ね!


そう口にするとみんなそれぞれの席に戻っていき、ちょうど全員が席についたとき松陽先生が教室に入ってきた。



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