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□閉じ込められて目眩がしたの
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寒い教室の中でコタツに潜り込みながら、他の生徒会のメンバーが来るのを待つこと数十分
寒くて体が震える。
コタツは温いけどやっぱり寒いものは寒いのだ。
何故学校にコタツがあるのかって?
生徒会長様を脅して生徒会室にコタツが設置されたのはつい最近のことだ。
勿論学校にコタツがあるのはおかしなことだから先生達には秘密で。
『あー・・・もうっ!寒い寒い寒いっ!!』
コタツに全力で潜り込んで寒さに耐えていると、突然派手な音を立てて生徒会室の扉が開いた。
ドアの音に驚いて思わず首を90°回せば、目いっぱいに広がったのは動く黄色だった。
「あー!!ずりーッスよ!!コタツ!!俺も入れて欲しいッス!!」
いやその前に生徒会じゃないメンバーが生徒会室に入ることはおかしいからね!?
・・・コタツがあるのもおかしいけど、そこは気にしない
ずかずかと近付いてくる黄瀬は鼻を真っ赤にさせていた。
きっと部活のあとなんだろう。
『はぁ・・・仕方ないわね』
そう言うと黄瀬は幸せいっぱいって感じのオーラを体全体から吹き出した。
それはまた、嬉しそうに。
「ふ〜・・・あったまるッス」
なんて伸びたような情けない声を出しながら黄瀬はコタツの中にゆっくりと入ってきた。
しかし
『ちょっと待ってっ!?これ明らかおかしいわよね!?』
挟み込む、というよりはあたしをその大きな体に閉じ込めるかのように抱き抱えながら黄瀬はコタツに入ってきたのだ。
黄瀬はニヤリとたまに見せる、ゾクリとさせるその笑みを浮かべて更にきつくあたしを抱きしめた。
『っちょ、は、放し「嫌ッス」黄瀬ェ!!!!』
必死に暴れて対抗しようと試みるも、体全体をすっぽり抱えられてしまえば対抗のしようがない。
それでも何とか逃れようと腕を必死に動かしていると
「だってこっちのが温いじゃないッスか」
そう言った黄瀬はさっきのようなニヒルな笑みじゃなくて、頬を僅かに染めて優しく微笑んだ。
・・・卑怯じゃない?
そーいうの
なんだか抵抗する気も失せて、諦めたように力を抜いて黄瀬にもたれ掛かった。
黄瀬は驚いたように目を見開く。
『・・・寒いから仕方なくよ』
「うッス」
ほんとはもう寒さなんて吹き飛んでいて、むしろ暑いくらいだったけど、また抱きしめる腕を強くした黄瀬から逃れるのは至難の技だから、今日だけは諦めてやろう。
閉じ込められて目眩がしたの
(は、入りにくいです・・・!)
(・・・・・・うん)
2013.02