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□白銀の世界で
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『真太。雪』
「マジかよ。こんなとこでも雪なんて降るんだな」
白銀の世界で
仕事場の窓から外を眺めれば、綿のように白い雪が舞っていた。
何の気も無しにネームを書いていた真太に報告すると以外にも隣まで来てくれた。
そして、珍しいなと呟いている。
真太に向けていた視線を窓の外へ直す。
さっきまではただの灰色だった街が何処となく白銀を帯びる。
その色がだんだんと寒さを連想させ、一つの思考にたどり着く。
『…しもやけ対策しないと』
「突然なんだそれ?!そこはもっと幻想的なことじゃねぇの?!」
そこまで大仰にリアクションされるとこちらも傷つくというものだ。
友人にもよく言われる、ときどき凄いタイミングでボケるよね、と。
色恋は得意ではないから異性が可愛いと思うような仕草も何を言えば喜ぶかということも分からない。
ちらり、と真太の方を見て考える。
…そういうことを言ってくれたら、と考えているのだろうか。
「あー…悪かったよ。だからそんな傷ついたような顔すんな!」
『え…?』
案の定顔に出ていたらしい。
…と言ってもウチの表情筋は自他とも認めるくらい強固なのだからきっとそれは付き合ううちに培われた技術に近いものだ。
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