桜/魂
□マゼンタの視界に
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ヒュ〜
と、甲高いようなか細い音が聞こえて、次に続いて聞こえた爆発するような音。
周りでは「わぁぁあ!!」と歓声が上がっている。
花火が打ち上げられた。
祭に来て早々松陽先生達とは逸れ、晋助もどっか行ってしまった。
つまりあたしはこれを一人で見る嵌めになった。
なんか、あたし寂し…
近くにあった手すりに腰を預けるようにして座り、もう一度空を見上げた。
「ねぇねぇ」
肩をトントンと軽く叩かれた。
『……?』
首だけで振り向くと数人の男子
「君一人?良かったらこの後俺らと遊びに行かない?」
これは…世に言うナンパと言うやつか。
なんて頭で冷静に分析する。
反応がないあたしの様子を、了承ととったのか男達があたしの手を引いた。
『は、ちょっと!!放してっ!!』
「まぁまぁそう言わないで」
聞く耳持たないように、ぐんぐん引っ張って行かれる。
あぁっ!!もう!!
股間の一つでも蹴ってやろうか!!
『もう!!ほんと放し…「オイ…」え?』
足を振り上げようとした時突然体が逆方向に傾いて、それと同時に聞こえてきた声。
え、嘘。
帰ったんじゃなかったの?
『晋助?』
晋助はあたしを一瞥してから、あたしの手を掴む男達をそれだけで殺せるんじゃないかってくらいの凄みで睨みつけた。
「てめェら、誰の許可得てこいつに触ってんだァ…?オイ」
晋助があたしの手を掴んでいた男の手を掴んだ。
ってか、メキメキ言ってんだけど!?
「ひ、ひぃ…!!」
晋助は最高に大きく舌打ちをして、男の手をあたしから払い退けた。
晋助に怯えて逃げていく男達をあたしは呆然と見ていた。
が、
「てめェ…一体何処ほっつき歩いてやがった!!」
今度は突然怒鳴られた。
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