√3xの心拍数
□√3×忙しさはこれから
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マイナーな趣味に少々困り果てつつも生徒会室の扉を勢いよく開け放つ。
中にはすでに二人以外の全員がそろっていた。
『もうっ、遅いですよ!咲良、珠央!!』
『ゴメンゴメン』
学園祭大好きっ子・知紗の熱気に多少のうっとおしさを感じつつ指定のパイプ椅子に座る。
と同時に会長の声で会議の始まりを告げた。
「それじゃあまず、学園祭から。今回それぞれのクラスに出し物の案をとったところ、少し飲食系の数が多いんだが…」
「くじ引きちゃう?やっぱり」
生徒会長である谷伎隆司の声に意見を出したのは谷伎会長の実の妹、谷伎薫だった。
「明日にでも集めへん?早い方が準備切り替えが効くし」
『それだったら今の方がいいでしょ。今ならまだ準備中だし集められるし』
「そうだな。じゃあ先生に言う前に一学年の数を決めておこうか。神城さん、今回の予算は?」
珠央は静かに数字を読み上げる。
そして静かに飲食店一つ分の推定予算も言う。
『…なので一学年、二クラスが妥当です』
「そうか。じゃあ早急にくじの用意、結澄さん。雪村さんは先生に放送を」
十数分後…
生徒会室前は飲食系の模擬店をしようというクラスの生徒で溢れかえっていた。
各々絶対に飲食店の権利を引く、と意気込んでいて熱気は半端ではない。
『多っ?!どんだけ飲食店したいクラスあんのよ…』
『一学年に四つはある』
『よーしっやりますよぉっ!!』
『…ってアンタ引くの?』
『はいっ!!皆に任されたので頑張ります!!』
意気揚々と知紗はくじ引きの輪の中に入っていったが、数分後…
『負けましたぁ〜…』
『あのやる気どこへ行ったのよ?!』
打って変わりぐったりと疲れ切った様子になっていた。
数名居たクラスメートは、仕方ないよ、と知紗に励ましの声をかけるが復活の兆しが見えない。
『珠央のとこは?チャイナ喫茶の予定でしょ?』
『赤司が来てあたりを引いて行った』
『赤司?!来てたの?!そりゃアイツに引かせれば外れるわけないわよ?!』
珠央は無表情に淡々とチート級のことを告げた。
生徒たちが散り散りに去っていき始めるのを見て咲良も、そろそろ撤退か、と思う。
『とりあえず、会議再開するから中入るわよ』
『うぅ〜…喫茶店〜』
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