To soul in a bind


□Thing to chase that I escape
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「っ………」

『どうしたんですか?恋次君。落ち着かないですね』


さっきから時計をチラチラと気にしていた恋次は知紗に言われてびくっと肩を震わせた。


「いや、何でもねェ」

『そうですか…?じゃあ私そろそろ帰りますね〜大分休みましたし、そろそろ移動しないとばれちゃいます』

「いや、その点は問題ない。一応周りの者には口止めをしてある」


うーん、と少し知紗が考え込み始める。

恋次は内心ほっとした。

あと少し、ほんの少しでいいから構わないから知紗にここに居てもらわないと困ったことになる。


そろそろか…と思い、恋次はゆっくりと扉のほうに移動する。

外からだんだんと近づく音が聞こえる。


『どうしたんですか?恋次君』

「ん、いやちょっと…なッ!!」


言葉とともに扉を大きく引き開けると


「お邪魔しまぁ…すぅぅぅっ?!!!あかんっ、こける!!こけるぅ!!」


両手を前に伸ばしたまま、咲良を背負ったギンが飛び込んできた。

さらに今度は白哉の後ろの小窓が開いた。


『「六杖光牢」』


重なった声とともに二つの光がギン、そして咲良と知紗をまとめて捕らえる。

小窓から飛び込んできた二つの影、そして開きっぱなしの窓からさらに一人。

計三名が拘束された三人に近づく。


『…隊長、知紗職務に戻りましょう』

「市丸隊長も帰りましょうか」

「市丸も結澄も雪村も観念しろ。まったく…神城と吉良が可哀想だぞ…」


三者三様、無表情、呆れ顔、笑顔を浮かべつつ珠央、吉良、浮竹の三人が近づく。


『浮竹は囮だったわけね…珠央が年上をそんな風に扱うなんて…』

『浮竹隊長が自ら協力してくださいました』

『それに…恋次君まで…内通者だったわけですか…』


恋次はバツの悪そうな表情で知紗を見下ろした。


『…とりあえず帰りましょう。仕事が待ってます』


そうして珠央は二人分の絶叫を引きずりつつ隊舎へ戻っていった。



Thing to chase that I escape
(追跡を逃れるのに失敗)
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