桜/魂
□晴天は曇天に等しい
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「――!!!」
あ…?
「―――き!!!!!!」
んだよ…
うっせェな…
まだ起きるにゃ早ェだろうが…
「―――きっ!!!!!!!!!」
ん〜…
だからよォ………
「いい加減にしろ!!!銀時!!!!!!!!!!!!!!!」
「だああああああああああ!!!!!!!!!っせェな!!!まだ寝かせろよ咲良!!!………って、あ…?」
「…いい加減に目を覚ませ。銀時。そろそろ戦に出るぞ」
「お?おぉ…」
*
やらかしてしまった。
つーか俺ァバカか。
こんなとこにあいつがいるわけねェだろうが…
そうは思うも、寝惚けて俺があいつの名を呼ぶのは今日が初めてというわけではなかった。
習慣というものは本当に怖ェ…
「あーーーーマジキモいわ俺…」
「ほぉ?自覚はあったみてェだなァ」
バッと後ろを振り向く。
俺のでっけぇ一人言にわざわざ返事をしてくだせったのは、態度ばっかデカくて背はいっこうに伸びねェ、あの…
「ぶっ殺されてェのか?てめェは」
なぜか俺が考えていたことがこいつ、高杉にも伝わっていたらしい。
なぜだ。
さてはこいつ、俺のストーカ…いや、やめて、ほんと。そういうのいくら冗談でも良くないからね、うん。
我ながら恐ろしいことを口走る、いや思い走りそうになっちまった…
危ねェ、危ねェ…
少し殺気立ちながら、睨み付けてくる高杉に俺はあえて気付かないふりをしてしらを切り通す。
すると高杉は舌打ちを1つ盛大にお見舞いしてから、その不機嫌そうな眉間に皺を寄せながら、挑発するかのようにゆっくりと口角を上げて口を開いた。
俺はというと、こいつの言わんとしていることが何となくわかって、こっちこそ舌打ちしてェ気分になった。
「そういえば銀時ィ、今朝ヅラに向かってあいつの名前呼んだらしいじゃねェか?」
なにがそういえば、だ
にやにやとしたその表情がすげー腹立つ。
「ヅラの野郎が言ってたぜ?お前ェは心の底ではあいつを必要としてる。置いてきたことを後悔してる、ってな。俺もそう思うぜ。あいつを置いていくと決めたのは銀時ィ、お前ェなのになァ?」
口元は笑っているが、高杉の目はひしひしと俺に真剣さを伝えた。
「………、っせェな。後悔なんざしてるわきゃねーだろォが」
「…………」
「…あいつにゃ、こんな場所、似合わねェよ、」
もう、泣いてるあいつは見たかねェんだ
俺の脳裏には、松陽先生が幕府の奴らに連れていかれた後、狂ったように泣いていたあいつの姿が写し出されていた。
「………、まぁそれについては否定はしねェよ」
"だが"
「あいつは俺達の帰りを大人しく待ってられるようなデキた女じゃねェと思うがなァ…」
高杉はそれだけ言うと、今度は何も言わず、俺の横をすり抜けていった。
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