桜/魂
□業火に飛び込むその思い
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「あぁ?同盟…?」
幕府が天人共に寝返り、減る気配のない天人達の軍勢に、日々傷を増やし仲間を失い、どんどん減っていく兵力に頭を抱えた末に出した桂の答えはそれだった。
「そうだ。貴様も小耳にくらい挟んだことがあるだろう。
この海の向こうの土佐の国で俺達と同じく天人達を排斥すべく立ち上がり、恐れられている"桂浜の龍"、そして"鬼姫"の名を」
桂浜の龍、鬼姫ねぇ…
大層な名前で呼ばれているようだが本当に役に立つのかどうか…
「あれだろ?桂浜の龍ってのはボンボンの特権使ってパパに買ってもらったオモチャの兵隊引き連れて遊んでるクソガキ
鬼姫ってのもそいつの金に目が眩んでたかってる蝿みてぇなもんだろ」
鼻くそを1つフッと桂の目掛けて飛ばしてやりながらそう答えたら桂、そう、ヅラは渋い顔をして鼻くそがついた頬をそのままに俺を嗜める
「そう滅多なことをいうものではないぞ銀時
それに向こうとはまだ直接話をしたわけではないが、貴様が思っているような男ではなさそうだぞ
まぁ、明朝、向こうの船がこちらにやってくる
品定めならその時にすればいいさ」
「ふーん…」
気に食わねぇな…
俺はなんとなく、
木に隠れて見えもしない海を見つめてそう呟いた。