桜/魂


□影を隠してまた踊る
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目的の場所には、思ったより早くついた。
目の前に広がる少し大きな店から出てきたのは気の良さそうなおじさん。


「松陽さんとこの子かい?ちょっと待ってね。今取ってくるから」


そう言ったあと、2、3分くらいしておじさんが再び中から姿を現した。


「はい、これ。松陽さんによろしくね」


そう言って手渡された物をあたしは丁寧に受け取って、軽く会釈する。

すると、そのおじさんはあたしと晋助を交互に見るとにっこり笑って“いつまでも仲良くねェ”と言った。


途端晋助はバッと赤くなった顔をそのおじさんに向ける。
あたしが“勿論です”と笑うと今度はこっちを勢いよく見てきた。


何よ、一体
変な奴…



『それでは…』


深く頭を下げてから、あたし逹はその場を去った。











「ん」


おじさんの店が見えなくなった時、晋助はあたしから、さっき受け取った物を引ったくるようにして奪いとった。
あたしはあたしでその様子に何も言わない。
別に重い物ではなかったし、あたしが持っても良かったんだけど
前に取り返そうとして、怒られたので放っておくことにした。



『ねぇ、さっき何で顔赤かったのよ?』


帰路を辿りながら、フとさっき気になったことを訊ねてみた。


「やっぱ意味、わかってなかったか…」


意味深なことを言われて頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ。


晋助は盛大に溜め息を吐いた。

それがあまりにもあからさまにあたしにバカだと言っていてカチンときた。


『あたしだって意味くらいわかってるわよっ!』


鋭く睨み付けてそう怒鳴ってみた。
が、その途端晋助の目付きが明らかに変わった。



『え…、』


何…?
と言おうとしたとき、手首をギュッと掴まれた。



「ほォ…?そうかよ」


いつもより低い晋助の声に体がビクリと跳ね、その瞬間、ドサリッ、と晋助はその場に荷物を下ろした。


『なっ!何してんのよあんた!』


慌ててしゃがんで、拾おうとする


が、その瞬間凄い力で引っ張りあげられた。


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