桜/魂
□恋熱浮上
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「……はぁッ!?」
ワンテンポ遅れて、銀時はその虚ろだった目をバッと見開いた。
その顔も熱が上がってきたのかさっきより赤い。
これは、絶対意地でも銀時に薬を飲まさなければと、銀時の傍ににじり寄った。
「え、お、オイ!?咲良!?む、無理矢理って…いや、それなら嬉しいんだけどよォ…って、そうじゃなくてだな!!お前それでいい…んぐっ!?」
何を勘違いしているのか、わからないが、何時にも増して饒舌な銀時はひたすら百面相しながら喋っていた。
が、これは好都合
口を開けている銀時の口にあたしは薬を叩き込んだ。
困惑している銀時。
しかしまだ口を閉められては困る。
急いでおぼんの上に置いていた水が入ったコップを手に取って、強引に銀時の口に流しこんだ。
吐き出されては困るので銀時の口を手でしっかり塞ぐと、銀時の喉でゴクリと音が鳴った。
それを確認してゆっくりと手を放せば銀時はフラッと倒れた。
「お前に期待した俺が馬鹿だっ、た…」
そしてその言葉を最後に銀時は力尽きた。
『だから何を期待してたのよ…?』
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あれからずっと眠ったままの銀時
薬が効いたのか、顔色も良くなっていて、少し安心した。
『ったく…人騒がせな奴なんだから』
眠っている人間にそんな憎まれ口を叩いても仕方ないのだが、熱が引いたことに安心したのかつい心ない台詞を吐いてしまった。
まぁ、いつものことなんだけど…
『あんま心配かけないでよね?』
そう言いながら無造作に跳ねている銀色の髪をピンッと指で弾いた。
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