桜/魂


□飴色の憂鬱
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ヅラによって強制的に連れて来られた部屋。


そこには“待ってました”そう言いた気な松陽先生が。



『え、松陽先生?』


と松陽先生の名前を呼ぶ。

え、なに、何なの?



すると松陽先生は


「何ですか?」


なんて言いながらジリジリと近付いてくる。



いや、だからこっちが“何ですか?”なんですけどォォッ!!



あたしの心の叫びは虚しく、松陽先生の懐から出された浴衣があたしに迫ってきた。


「咲良。この浴衣を着てくれますよね?」


『………』


あぁ、これは逃げられないな…












結局、観念したあたしは松陽先生が用意してくれた浴衣をおとなしく着ることにした。


昔から松陽先生のあの笑顔には勝った試しがなかったから…



どうしても着るのが嫌だってこともないし





いつも着物を着る要領で浴衣を着る。


着物とは違い、夏用に作られた浴衣は案外涼しくて、何より祭だという意識を高める。



何だか高揚する気分を感じながらあたしは再び松陽先生がいる部屋に訪れた。









『松陽先生?』


名前を呼びながら襖を開ける。


しかし中には松陽先生はいなかった。




代わりに


『え、銀時…?』





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