桜/魂


□夕化粧
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(咲良視点)



寺子屋の授業が終わって、松陽先生に剣を教わる時間となった。




「今日はペアを組んで試合をしてもらいます」



松陽先生はいつもの笑みを浮かべてそう言った。



今日のあたしのペアは銀時。

でもあたしは今日は初めて剣を習うから銀時に教えてもらうことになる




しかし



『銀時、何処にいるんだろ…』



いないのだ。
何処にも。


銀時がいなくては、練習ができない。


だからさっきから必死に探しているのだ。



『もう…銀時はバ…っうわ!?』




“銀時のバカ”と言おうとした途中、何かに躓いてその言葉は呆気なく中断された。


あたしが躓いたであろう、足元の何かに目をやると



『え…』



それは人の足で、しかもあたしがさっきまで必死に探していた銀時の足だった。


顔を覗き込むと、スヤスヤと気持ちよさそうな寝顔がそこにあった。



その顔を見た瞬間、何だか起こすのが勿体なく思えて、結局あたしもその場に座りこんだ。




ふと気付くと淡いピンク色の花びらが銀時の銀色の髪の中に舞い込んだ。


その桜の花びらを取ろうと手を髪に持っていく。


すると銀時のふわふわしたその髪は、あたしの指に銀の糸を絡みついた。




『うわぁ…』




見た目以上に柔らかくてつい夢中になってしまい、暫くの間あたしはひたすら銀時の髪を弄っていた。




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