桜/魂


□夕化粧
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(銀時視点)



ダダダダダダッ



小刻みに、そしてリズム良く響く誰かの足音。


その音がだんだん近付いてきたと思えば突然勢い良く襖が開いた。



「は、高杉…?」



俺の横を猛スピードですり抜けた高杉はそのまま有無を言わせず部屋の隅にうずくまった。


遂に頭壊れたのか?こいつ…


すると、丁度タイミングを計ったようにして俺の後ろでヅラの声が聞こえた。



「高杉」


どうやら俺にではなく高杉に用があるらしい。



ヅラが高杉に話しかけるが、高杉は何やら赤い顔でぶつぶつと言って、ヅラの声が聞こえていないらしい。


そんな高杉に溜息を吐いたあとヅラは用件を話しはじめた。



「おい高杉。今日の練習俺と試合だそうだ」



しかしやはり高杉には聞こえていないようだ。



「聞いているのか高杉!!」


ヅラの無駄に大きい声をものともせず高杉はひたすら自分の世界に入り込んでいる。



ある意味すげェ…



なんて、関心さえ沸いて来る。



すると、さっきまでうるせェ声でひたすら高杉の名前を呼んでいたヅラが諦めたようにうなだれて、俺の方へやってきた。



「くそぅ…高杉の奴…」



こちらも自分の世界に入ってしまったようで、忽ち俺の居場所が無くなった。



その空気にいたたまれなくなって話を見つけようと頭を絞ればフと思い付いた。


「そういや高杉。お前最近よく咲良と一緒にいるよな。前はまったく近付かなかったクセによ」



空笑いと一緒に何となくそういえば



「っ!?なななな何のことだよ!?」



さっきより何倍も顔を赤くさせて、以上なまでに反応を見せた高杉。




……へ?



「高杉…!貴様、もしや…」



いつの間にか復活したヅラが不愉快なくらいの笑みを浮かべて高杉に詰め寄る。


「もしや咲良のことを好…ブッ!!」



話の途中で、キレた高杉がヅラの顔面に拳を食い込ませた。



「だ、誰があんな女好きになるかよッ!!」



けれど赤くなった顔と必死なその様子に、高杉が咲良が好きだということは否定のしようがなかった。



「へぇ…あの高杉がなぁ…」


意外、ただ純粋にそう思った。




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