桜/魂


□仔狼の緑
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あれから数日。
傷の具合も大分良くなってきて、何事もなく平穏に過ごしている。



寺小屋、いや、松陽先生の傍は心地好かった。


布団の中から出て窓を開ける。
窓から入ってきた風に少し髪を乱された。



「咲良」



背後で松陽先生の声。


それに間髪入れず振り返る。


『松陽先生』


振り向いて見た松陽先生の顔はやっぱりいつものように穏やかな笑顔。


『何ですか?』


あたしがそう尋ねると松陽先生は一拍置いて


「そろそろ傷も癒えてきた頃ですし、咲良には明日から寺小屋に入ってもらいます」



寺小屋に入る。
それは勿論生徒として。


あたしも一拍置いて“わかりました”と答える。


あたしの返答に松陽先生は満足そうに笑った。



「いつまでもその召し物では不便でしょう。今日はこの後生活に必要な物など買いに行きましょうか」


松陽先生はそう言いながらあたしにお金を渡した。


「私は今日は用事があって買い物には付き合えないのですよ。すみません。」


申し訳なさそうに謝る松陽先生に、首を左右に振る。


「だから代わりに彼と一緒に買い物に行ってきて下さい」


『彼?』


銀時か、小太郎だろうか?


しかし松陽先生はニッコリと笑ったまま


「お楽しみです」


まるで悪戯をする子供のような顔でそう言って、部屋から出て行った。




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