桜/魂


□吹き飛ぶくらい、
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彼は一瞬、とても悲しそうな顔をして、あたしの頭の上に手を置いた。



『っ…』



彼はあたしと目線を合わせてゆっくりとこう言った。


「大丈夫です。私は君を裏切ったりは決してしません。安心して下さい」



そして続けてこう言った。


「確かに君を見つけたのは偶然です。しかし私は君の力になりたいと思いました。君を引き取った理由がこれでは、足りませんか…?」



穏やかで優しくて、それでいて強い口調。


その言葉が嬉しくて堪らなかった。



『足りなく…っなんかない、です…っ!』



嗚咽混じりに、そう伝えた。

胸の中は感謝の気持ちで一杯だった。



「名前を、教えて頂けますか?」



名前?

あ…、まだ言ってなかった…。



『結澄咲良、です…』



名前を伝えた途端、松陽さんは嬉しそうに、ただ本当に嬉しそうに笑って



「咲良。これから、宜しくお願いしますね」


と言った。


その笑顔にあたしもとても嬉しくなって、自然に笑みがこぼれた。



『よろしく、お願いします。松陽さん』




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