桜/魂
□はらり ひらり
1ページ/2ページ
『はぁ‥っ…はぁっ‥‥ッ』
赤
紅
アカ
「あっちへ逃げたぞォォ!!捕らえろ!!」
あたしが通った跡には赤が綴られている…。
ここまで、か…
嫌だッ…!!
まだ……まだ…
まだ…
――――――――――――――――
「咲良〜!早く!!始まっちゃうよぉ?」
あたしを急かす声が聞こえる。
『ごめんっ!先に行ってて!!』
「了解〜」
今日は皆既月食が起きる。
だから今あたしは、友人と、夜桜と共にそれを見に行く為に準備をしている。
しばらくして準備を終えて、友達を追いかける。
すると急に空が黒く闇に包まれ始めた。
『ヤバっ!もう月食が始ま……!!!?』
キキィィィ
迫る音
真っ白に染まる視界
壊れはじめるあたし
全てがスローモーションに動く。
抗う術を持たぬまま、
次の瞬間にはあたしの身体は宙を舞い
紅く染まっていた。
怖い…。
あたしの赤に比例して意識が薄れて逝く。
嫌だっ、怖い…!
まだ
まだまだまだまだまだまだまだまだまだ…っ
まだ…
『『死にたくない…っ!!』』
何故か自分の声が二つ重なって聞こえた。
そして世界は完全に闇に包まれた−…
はらり ひらり
((交わる世界…
全ては此処から始まった))
.