√3xの心拍数
□√2×服装検査〜一日目〜
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『眠い…眠すぎるわ…』
咲良は目の下を擦りながら言う。
今日は月一の服装・頭髪検査の日である。
帝光中学校の服装・頭髪検査は他校と違い生徒会の活動に分類される。
もちろん検査をするのは生徒会本部役員である。
しかし、本部役員五名(実際に検査するのは二名)でほぼ全校生徒を相手にするのは相当な時間がかかる。
よって…
『役員は六時登校とか頭おかしいんじゃないの…?』
『仕方ない。朝練人口のため…』
不機嫌オーラ満載の咲良の隣で珠央が答える。
『てか授業でやんなさいよ、授業で。他校はそうしてるじゃない。生徒会の役目は学校生活をより良くすることなのよ。あたしたちも生徒じゃない』
『…授業時間が減るから受理されない』
珠央の冷たい切り返しに拗ねた咲良が机に突っ伏した途端顔を上げた。
『なんか聞こえない…?』
ダダダダ――――
その足音の原因を見る為に咲良が立ち上がって振り向いた瞬間、
「結澄っちぃぃぃいいぃっっ!!!!」
金髪の大型犬が咲良に抱きついた。
『ちょっ…離れなさい!バカ黄瀬っ!!』
黄瀬と書いて“いぬ”と読む。
抱き着いてくる黄瀬を必死に引き剥がそうとするも、その力は増すばかり。
まさに効果音にギューーっと付きそうな程に抱きしめられた。
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