桜/魂
□恋熱浮上
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バタバタバタバタッと、慌ただしく廊下を走る音が忙しなくずっと続いている。
と言うのもこの襖の先で風邪で寝込んでいるからだ。銀時が。
今日は、村塾もお休みで、晋助やヅラはおろか、他の生徒だっていやしない。
まぁヅラ達がいると銀時が余計に熱を出しそうだからそれはいいんだけど…
今日に限って松陽先生がいない。
最近先生が時々外出するのはわかっていたが、その先生がいない日と重なり、銀時が倒れた。
だからあたしが先生の代わりにこうして忙しく銀時の看病をしているというわけだ。
『銀時ー?薬持ってきたから飲んで』
そ〜っと襖を開けて中を覗くと、顔を真っ赤にさせて、目も虚ろで、しかし嫌そうな銀時の表情があった。
「必要ねェよ…んなの寝たら治…ゴホッゴホッ」
『あぁもう!だから言ってるのに!薬飲んで寝た方が飲まないで寝るより良いに決まってんでしょっ!?ほらっ飲んで!』
「…薬嫌ェなんだよ」
ジト目をされて薬を飲むことを全力で拒否してくる
『だから何よ。飲まなきゃ治んないんだから飲みなさい』
それでも一向に飲む気配を見せずただ、あたしの手の平の上に転がる薬を睨みつけている銀時
強情だな…もう
いい加減こちらも苛々して来て、強行突破することに決めた。
『銀時、あんま聞き分けないと…無理矢理飲ませるわよ?』
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