桜/魂
□飴色の憂鬱
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《7月20日 PM6:00〜》
買い出しの帰り道で何と無く目に留まったそれ。
今日はちょうど7月20日。
「何見てんだァ?」
松陽先生に頼まれてあたしの買い出しについて来てくれた晋助が、その場に固まったままのあたしを見て不審に思ったのかそう尋ねながらあたしに近付いてきた。
しかしあたしが晋助のその質問に答えるまでもなく、あたしがその場に固まってる理由を察したようで
「今日祭あんのか…。ククッ。咲良、行きてェのか?」
あたしの目線の先にある祭のポスターを見ながら晋助は言った。
“ガキ”
まるでそう言ってるみたいな声と態度がムカつく。
『ぅうるさいなっ!!』
あたしはあたしの横で嫌味な笑みを浮かべる晋助を睨みつけたあと、晋助をほって寺子屋目指して再び歩き出した。
寺子屋に帰ると何故か皆浴衣を着ていて祭のフル装備をしていた。
おそらく彼らが行く先はあたしが見ていた祭なのだろうが、あまりに突然な展開にあたしは口を半開きにしたままその場に突っ立っていた。
しかし驚いたのはあたしだけじゃなくて、後から遅れて帰ってきた晋助までもが驚いたように目を見開いている。
「おぉ!咲良、高杉。やっと帰ったか!!祭に行くぞ。早く準備をしろ」
皆と同じように準備万端な格好をしたヅラがあたし達を急かす。
状況についていけないままあたし達はそれぞれ部屋に連れていかれた。
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