桜/魂


□水銀に溶けて
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数年後…――――





眩しいくらいの朝日が差す中、パンッパンッ…と竹刀の音が響いた。


「一本!」


道場で、銀髪の男と長い黒髪を二つに結った女が竹刀を交え、栗色の同じく髪の長い男がそれを審判していた。


と、栗色の男、松陽先生が“一本”と言ったと同時に黒髪の女、結澄咲良ことあたしの勝利が決まった。



『あたしの勝ちね!銀時!!』


誇らしげにそう言えば銀時は口をへの字にして


「っせェな!この凶暴女!!」


と暴言を浴びせてくる。


『はぁ!?あたしのどこが凶暴なのよっ!?』


銀時の暴言に間髪入れず言い返す。

しかし銀時はそんなあたしの返答をものともせず


「そういうところだよ!!」



と返す。

そんな銀時に関節技をかけながら


『煩いわね!負けたんだからあんたは黙って言うこと聞きなさい!!』


「お前ゴリラじゃねェか!?ゴリラになんか勝てるわけ…いだだだだっギブギブゥゥゥ!す、すみませんしたァァァァ!!」


勝負で負けた方が勝った方の言うことを聞く。

これはあたしと銀時の間で試合前に決めたこと。



ゴリラって失礼じゃない…?



道場には竹刀の音ではなく銀時の悲鳴が響いた。



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